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α空間の狂ってない彼女  作者: 6月32日
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“お城”への旅 

ひどい衝撃で目が覚めた。視界の中を星が舞った。

 見上げるとは本物の星が明るく瞬いていた。

 軽トラックは山の中を走り続けていた。星の明るさが町の中とは比べものにならない。

 

 昔、家族で行ったプラネタリウムを思い出した。

 風になる前の父と、世界の真理に目覚める前の母は、まるで絵に描いたようなオシドリとか白鳥とか……とにかく仲良しの夫婦だったので、ボクのようにカワイイ子どもを連れてプラネタリウムくらい行ったとしても何の不思議もなかった。でも、プラネタリウム自体は何だか不思議なところで、売店でポップコーンとジュースが売っているのに、会場内は飲食禁止だった。しかたなく、ボクは待合いの座り心地の悪いイスで、ポップコーンをのどにつまらせながら、上映時間に間に合うように超高速で胃に流し込んでいた記憶がある。あの時と、近所の池で白鳥に首を巻き付けられたときが、ボクの人生で最も死に近づいた時だったような気がする。


 軽トラの荷台と家族で行ったプラネタリウムは美しい星空で繋がっていて、頭を打ったせいかもしれないけど、ボクは「幸せ」を感じていた。このとき、ワニの横であるとか、Dr.が死にかけているとか、そういうことは申し訳ないけど関係なく、「幸せ」というものに実体があるのなら、きっとあそこに見えている星のひとつひとつがそうなのだろうと思った。

 

 軽トラは、“お城”に着いた。


 学校や市街地がある市の中心部から、遙か南に連なる峰がある。山道の入り口までだけでも10km以上は離れた山の中腹にとてつもなく大きな建造物が見下ろすように立っているのが見える。というか、暗くなったらライトアップまでして見せているのだ。さらに夜の8時にはディズニーランドのナイトエンターテイメントのように上空を七色のサーチライトで照らし、その威容をアピールする。街の人々は、その建物をからかうように“お城”と呼んでいたが、実際にそれが誰の持ち物で、どんな目的で存在しているのか知っている者はほとんどいなかった。

 

 それはそうと、Dr.はかなり前から動かなくなっているが、大丈夫だろうか?

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