欲しいのは灯り
遅くなりましたがようやく更新できた感じです。
実験地味たものは、灯りを灯すこと。
赤ん坊では火をつけることも、そもそも動くこともままならない。
この世界に「魔力」的なものがあるとしたらそれが動力源なんだろう。
何処から出ているのかも気になるところだが、今は気にせずにいよう。
灯り。前世では電球や電灯とかがあったけれど、電力だ。
ここには科学の類は見当たらないが、似たようなものはできるはず。
一番手っ取り早いのが電気とかじゃなくて
、火を点けて灯すのが早いがどう点けるのだろう?
摩擦? 擦った熱で? 時間がかかりすぎると思う。
いずれにせよ今の時点では、想像でやってみるしかないな。
こう、ピン球大の丸い奴を思い浮かべ、
それをそのまま指先へと送り出す感じ。
すると小さいものが指先から出てくる。
それは小指の爪ほどにも満たない小さい球状だが仄かに光っている。
しかしその灯し火は外からの光の乱反射。
まるでそれはガラス玉。とても透き通っているがその輪郭は少しぼやけて見える。
ただとても綺麗でしばらく眺めていた。
*
何かに呼ばれたような気がして目を開けた。
どうやら寝てしまっていたらしい。
ガラス玉は同じ場所でふわふわと浮かんでいる。
よく見ると少しだけ、大きくなっていると言っても違和感を感じるくらいに大きくなっているような気がした。
気がしただけだろう。
ふとドアの方を見ると全開で開いている。
ドアの前には一人の女性、いや母親か。
名前はレイラ。女性にしては腕っ節のいい快活な女性である。
一言でいうと「肝っ玉母ちゃん」である。
そして飯が旨い。
そんな母が何の用なのだろうと見ていると、後ろからもう一人、顔を出し、こちらへ向かってくる。
そしてベッドの柵の上から覗き込む。
「あ、リースが起きてるよ」
「あら、ちょうどいいわね。ご飯にしましょう。コール、外に居るトルクを呼んできてちょうだい」
「はーい」
そういうと、またベッドの柵から離れ、部屋から出ていった。
そうか、あれが姉のコール。ということは兄がトルクか。
外に居るらしいけど実感が無い。
音がしない、あまり動かないのかな等考えていると母は僕をベッドから抱き上げ、部屋から出ていく。
今日の母の様子は喜色満面でとてもご機嫌良い様子。
とは言っても既に晩ごはんの時間、「いいことがあった」ということなんだろう。
何かは知らないけれど。
晩ごはんの後、僕はまたベッドへと戻されたのだが、さっきのあの位置のままのガラス玉が大きくなっている。
これは確かだ。大きさにして野球のボールくらいの大きさになっている。
僕の小さい手では少し大きすぎるサイズだ。
反射する光の量も多くなっている。
大きくなったガラス玉を眺めているといつの間にか寝ていた。
そんな感じの、のんびりとした毎日が続くこと2ヵ月。
結論から言うと「光源」と呼べるものはできなかったが、
プリズム……のようなものを作ることはできた。
外からの光を受け、それを乱反射から全方向へ光を放つ。
見かけはガラス玉、水晶玉なんだけれど。
時間の感覚が変ですがそういうことです。