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幻想と幻糸  作者: 春風
荒野へ飛ばされましてね
22/26

「話したいことがある」

繋がらない支離滅裂はあとちょっと

「ふうううう……はあああああ……」


大きなため息をつくマスター。

一大決心みたいな物が感じられる。


黙ること数分間。

外からは緩やかな風と扉の動く音がする。

風が止んだ時、マスターの口が開く。


「まずは……そうだな、聞く前に話しておきたいことがある。」


話の内容はこうだ。

数ヶ月前、この宿に泥棒に入られたと。

そもそも外から入ってくる人自体少ないのだけども。

その泥棒が入られた日の翌日、発見された。あの塀の外で。


 泥棒はひたすら殴られたような状態で顔が血や痣などで酷い有様だったそうだ。

顔だけではなくありとあらゆる場所、全身の骨が折れていたそうだ。

倒れていた場所の周辺には宿の売上金が多数散らばっていたのだが、その中の金貨数枚が真っ二つに割られていた。


 泥棒は泥棒で後日処理されたのだが、また別に冒険者パーティが宿へ泊まりに来た。


泊まった次の日。冒険者もやられていた。辛うじて生き残ったのはパーティの中の魔術師一人。

その人も多分に漏れずやられていた。

今も動けないがこの街の何処かにいるらしい。



「とまあ、ありきたりな話……なんだが……不自然なところ、気づけたかい?」


横に居たリズさんは考えている。

僕は、僕の意見を言うことにした


「金貨が真っ二つに割れた?」


「続きをどうぞ」


マスターは続きを促した後、何も言わずにこっちを見ている。確かめるように。


「……マスターは何が言いたい?何を知ってほしい?何に気づいてほしい?

まさかこの……」


僕は椅子から立ち、マスターへ近寄り、首元を見る。

あのシールがない。リズさんにはまだある。

あの「止めた」時点で効力は失っているとでも?


「……君は何を何処まで知ってるんだい?」


マスターはゆっくり椅子から立ち上がり、リズさんの元へ歩いていく。

そして何かを剥がす動きと音がした。


マスターは続ける。


「まあ君が何を何処まで知っているか。それはさておき、こうなった以上いずれ知るだろうから教えておくよ」


これは世界規模で信じられている話。

この世界の人はみんな首元にほくろみたいなシールを生まれたての時に教会へ行き、貼ってもらうらしい。

それを誤って剥がしてしまう、もしくは剥がれると死んでしまうというもの。


事実、剥がれて1日以上生き残った人は居ないとか。


「話ばかりですまないね。これは実験でもあるし君がこれを知っているか教えてほしいんだ。リース君」


これがマスターが僕の名前を初めて呼んだタイミング。

初めて出会ってからこのマスター、笑わうことがなかったが、今困ったように笑っている。

何かが起きようとしているこのタイミングで。


マスターは机の上に置かれていた水晶玉を持ってくる。

それは大事そうに両手で持って。

僕らの眼の前へ持ってくる。

水晶玉に映し出されるのはこの砂漠街の周辺。

周辺は真っ黒だった。あのスズメバチ大の虫の大軍とは比にならない黒さ。

そしてそれの正体を僕は知っている。

前世では僕は、"僕ら"はそれと戦って根源を潰した筈だ。

何故ここに居る?そんなこと、今はどうでもいい。


「マスター、あれは多分これを剥がした場所に押し寄せている。ここにいると危ないよ。逃げよう」

「……リース君。あれを何なのか知っているのか?教えてくれ、じゃないと……!!」


マスターは明らかに焦っている。同様に僕も焦っている。


今を知っているが何かは知らないマスター。

今を知らないが何だったのかを知っている僕。

そしてどっちも知らない、話に置いてきぼりで困惑しているリズさん。


「だ、大丈夫だ、リース君。

あれはココには来ない。壁の近くまで来てまた帰っていくんだ。何故だかわからないがね……。

関係あるのか、わからないがここにいる人たちはみんな、これが無いんだよ。無いというかみんな私が剥がしたのだけれど、毎回同じだ。」


 マスターはリズさんの首から剥がしたシールのようなものを摘んで透かしつつこちらを見ている。


 水晶玉に写された外の光景は言葉通り、壁の近くまで来て、また帰っていく。


「僕らにあれは何なのか、目的は何なのかを調べてほしいっていうことですか」

「いや、それはいいんだ。あれは何処から来ているんだ?ここは砂漠、しかも周りに目印などない」


 マスターの考えは、

何処から来ているのか、何故剥がしたところに迷わずに来れるのか、の2点が疑問になっている。

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