次の日
ここまで読んでわかるとはお思いですが、基本リースくん目線で物語が動きます。
彼しか知らないこともありますが、答えは出てくるので大丈夫だと思います。
荒野の朝は日の出とともに。
朝露がつくくらいには涼しい。
だからなのか、鳥がいたる所に居る。
だから目に入った全部を頂いた。二人で。美味しかったです。
リズさん曰く。
「昨日からずっと思っていたんだけどね、あなたの魔力量といい、その刃物の手捌きといい何処で習ったの?あなた3歳よね?本当に3歳?本当に3歳だったらもっと何もできないわよ。その上人によっちゃ普通は吹き出す血なんか見たら倒れる人だって居るんだから」とすごく訝しげに見られる。
そりゃあ、あの世界を生きればねえ……とは思ったがたまたまだよ、と苦笑いで事を収めることに成功する。
教えてあげるには時期尚早かなあと思った。
疑念が払拭されない間は誤魔化すに限る。
――二人旅 轍の道を 逆らって
しばし砂の上 見えぬ街まで――
太陽は僕らの真上にある。風は強く吹き付けていて砂が服の上から肌を叩いて痛い。
陽炎の逃げ水の先にはまだ砂の色。
一歩ずつ、一歩ずつ砂を踏みしめて歩く。
しばらく歩くといきなり風が晴れる。
「え?どういうこと?」
リズさんはびっくりしたという表現がよく合う顔をしている。
周りを見回すとまだ砂の色。
すぐ後ろには見えない壁があるんじゃないかという具合に酷い砂嵐。
悪い言い方をすれば……そう
――スズメバチくらいの大きさの虫の大群。
[リズの眼の前が真っ暗になった!▼]
リズさんはぶっ倒れてしまった。
虫が嫌いな人だったのかな、血は大丈夫だったのに。
まあそういう人も居るか。
雨蛙一匹にぎゃあぎゃあ言う人も居たしね、しかたない。
しかしよく咬まれたり刺されたりしなかったなとも思う。
ここからはリズさんがぶっ倒れてしまったのをいいことに
魔力で編んだ糸でリズさんの体をぐるぐる巻にして、魔力で作った雨……違うな、水球を落としていく。
その大きさたるや、かつてのタンス大の大きさをいっぱい落としていく。
落としたあとは砂が固まる。
黒くなった砂地を1歩2歩歩くも遠いなあと感じるまでの距離感。
歩幅の関係もあるだろうが気持ちの面でも辛いところがある。
こう、飛べたらいいなあ。
……飛ぶかあ。浮遊はできないからこの糸……ゴムの代わりにならないかなと思いつつ魔力で作った糸を出すと……。
「おお……ゴムだ、すげえ。仮にも糸状なら何でもありなのか。でも掴むものが無いと……」
こう言っているうちにも高い気温で水は蒸発し、また水を落とさなければならない。
「ん?水蒸気?」
もしかしてと思い、糸を出してみる。
空気中に糸が付いた。
やはりわりと何でもありなのか?
その後、ゴムの要領で飛んだ。余りのスピードに死ぬかと思いはしたものの地面は柔らかい砂なので大丈夫だった。
湯気を掴み、飛ぶこと数十回と繰り返した後、まさに「オアシス」と言った感じの場所が見えてくる。
自ずとスピードも加速する。
そのとき、リズさんをぐるぐるに巻いたほうの手に違和感。
その方を見ると今まさに糸から落ちていくリズさん。
その光景はスローモーションで再生されていく。
巻いた糸からリズさんの体がすり抜けていく。
腕には何も付いていないが違和感。
ゴム飛びをしていた方の手でリズさんの体を回収、方向転換からの移動、着地までを全部詰め込んだら糸がさけ○チーズのようになった。第三者が見たら気持ち悪いだろうな。ぐちゃぐちゃにした蜘蛛の巣より酷い形をしている。
ことなきを経て一息つく。
危なかった。意識無い状態であんな高さから落ちたらどうなっていたことやら。
周りには、荒野より何もない砂ばっかりだったとしてもだ。
改めて違和感を感じた方の手を見る。
見た感じ異常は何も無い。
手や肘、腕の裏など隅々まで見る。
二の腕の裏に何か赤い点がついている……?
それに触ろうとしたとき脳の警告と言うのかその場から離れたほうがいい気分になった。
それと見たことあるけど見たくないような景色が一瞬見えた。
じゃあ、リズさんにはあるの?
息切れを起こす呼吸をそのままにリズさんを座らせる。
熱いだろうなと思ったが今はそうも言ってられない。
普通に見て、見えて普通は触らないところ……と感じた。
顎の裏とか脇とか首筋、色々外から見えるところは見たが無かった。
服の下と直結したが……どっちだ?
今目を覚まされるとやばいのはわかりきった話なのである「まじない」をかけておく。
一回使えたのでこの世界はあの世界だ……と思う。根拠がない。
恐らく……内ももの後ろ側。
”剥がしたら”何が起きるか分から――
何故これが”剥がれる”と知っているのだろう?
剥がしたら何が起きるというのだろう?
脳の警告とこの気味の悪さは気温の高さを打ち消してなお体を冷やしていく。
鼓動の音がうるさいくらいに強く脈打つ。
未だリズさんを眼の前で座らせた状態。
まずはゴム飛びでこのまま人のいるところへ行くことにしよう。




