野宿、お二人様
あのあと、うつ伏せになった男性は置き去りにして馬車の轍を踏んで二人、手を繋いで戻る。
太陽は傾き、リズさんの顔が赤色に染まっていく。もうすぐ日が沈むんだ。
あの場所から近くもないが遠くもない、そんなに大きくもない岩の上にいる。
あの場所は「ちょっと遠いが見える」ところにある。
「もうすぐ暗くなるね」
「そうね、お腹も空いたしどうしようかしら」
夕日に照らされ赤くなる顔は非常に疲れた顔をしている。
周りには大きな木が1本あるだけで何もない。
その木も影があるような葉がいっぱい付いているものではなく、ほとんど葉が落ちて枝や幹が見えている。
おおよそ食べられそうなものは何もない。
辺りは荒野なので近くに川もない。
持っているものは馬車から降りるときに持って出た武器や袋がある。
そういえば中身が何なのか見ていなかったな。
袋はそんなに重くない。だが何も入っていない重さ、手の感触ではない。
「あら、何の袋かしら?開けて見てちょうだい」
リズさんに言われるがままに袋を開けて出していく。
「これは……干した……肉かな。が4枚。それとなんだろう、これ、コイン……かな。」
他には何もなかった。
コインは前世でいう10円が5枚、100円が3枚、500円が1枚だった。
銅貨、銀貨、金貨って呼んだらいいのか?
「へぇ、金貨、あるんだ」
リズさんによると銅貨10枚と銀貨1枚、銀貨10枚と金貨1枚は同じ価値らしい。
というか重量で決めているんだとか。
その上に白金、魔銀、魔金とあるらしいけど見たことないそうだ。
そして紙のお金は存在しないとのこと。
精製が難しくなるほど価値が上がるとのことも言われた。
銅貨の下に青銅っていうのもあるらしい。
……ただ錆びただけなのでは?
太陽が地平線で沈みゆく中、夜間の火の為にリズさんは一人で側の木の枝を打ち落とす。
僕は落ちた木を拾い集めるだけになったが他にできることがこの小さな体ではあまりない。
ある程度集めると木を組んだ。
火はまだ点けない。
地平線と空から赤色が消えると組んだ木に火を点け、何もない荒野に一点の灯りが灯る。
「食べるものは干し肉だけ。水は……」
「――魔法があるんじゃない?」
指先から魔力球を出し、水に変換させる。
「あっ、そういえばそれどうやって出してるの教えてよ!」
「普通は出ないの?」
「出るには出るけど……」
リズさんの指先から水鉄砲のように小さな水が放たれる。
「……まあ……君みたいな水玉はなかなかいないんじゃないかな」
二人燃え続ける火を前にして干し肉だけじゃ明日持ちそうにないわね、と干し肉をかじりつつ悪態をつくリズさん。
だが、周りにはいわゆる「ぺんぺん草も生えない」くらいの荒涼。
結局そのまま日は暮れていき文字通り、干し肉と水で一晩を越すことになった。
夜の間、リズさんと色々話をした。
昼間の大量の水とか、身の上話とか。
この話の中でリズさんは風系の魔法が得意だそうだ。




