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ゲームで言う強制イベントです
熱を生む実験をしていたと思っていたら辺りは薄暗い。
「薄暗い」というか布のような……布だ、これ。
作りがとても粗くてぼんやり向こうがみえる。
そして何か聞こえる。ガタゴトという音と振動と恐らく男の人が、二人が、話をしている。
「あんな辺鄙な森にガキが居るなんてなあ、こいつも運が悪かったなあ?」
「そうだな、いつもは通らない道だがいい獲物が手に入った。こいつは売ってどうする?」
「いんや、売らずに奴隷ってのもいいだろう?せっかく女もいるんだし」
女?女の人が、一緒に捕まってる?
ならさっさと逃げないといけないな。
この布は袋のようですごく緩い。何もかもが緩い。手を縛っている紐も結び目も、袋の作りも緩い。すぐに千切れそうで、もう少しまともに作れと言いたいところだがそうも言ってられない。
しばらくするとガタゴトと鳴る音が、緩やかになり止まった。
布のこすれる音がする。男たちの声は遠ざかっていく。
袋を取り、辺りを見廻す。
同じような袋と口からきれいな足が出ている。
雑に置かれた山のようなたくさんの食料と貨幣なのか、丸い板状のものが数枚。
丸い板状のものの傍らに小さな袋。これはまだまともな造りだ。
そして剣など武具が2つ3つ入っている箱が一つ。
まず、武具を漁る。中には皮の防具と長い剣、短い剣、細い剣、弓があったので短い剣を取る。
次に小さな袋を手にする。
そして足の出ている袋を前にして立つ。
指から魔力を出し糸にする。3日だけだがひたすらやってたんだ、すんなり糸になって出てきた。
それを、袋に巻きつけて軽く縛る。
縛ったあと縦に一本線をなぞる。
そのあと気づいた、縛ったはいいが[浮かぶのか]と言うことに。
そのまま持ち上げるように指を上げると袋も同じように浮かんだ。
「あっ、浮かぶんだ」
呟いた矢先、近づく男の笑い声。
その声は後ろへと回り込んでくる。
急いで袋を被り、口は見えない方へ向けた。
布のこすれる音。男の声。布が戻る音。男の声と足音が前へ移動する。
振動とガタゴトと音が再び始まる。
ゆっくり袋を取り、布の隙間から外を覗く。
後ろには何もいない。逆に不信感を煽られる。
自分の後ろには山のような食料、その向こうに男の人が二人。彼らはゲラゲラ笑い、こちらの様子は全く気にしていない。
なるべく音を立てないように気をつけて降りた。
後ろを向けばよくある幌馬車の荷台。
どうやらあれは馬車のようでだんだんと小さくなっていく後ろ姿を見ていた。
手に持つ小さな袋はずっしりと重たい。
これがお金なら無くなっていることに気づいたとき、顔が真っ青になるだろうなと思いながら軽く失笑。
小さくなって消えたあと、木陰へと入り袋を破く。
話通り中は女の人。
金髪で髪は肩までくらいで端正……? とりあえずきれいな顔をしている。
服装は自分がそのままということもあり、この人もたぶんそのままなのだろう。
農地の看板娘みたいな服装をしている。
起きるまで待つか。
時間経過
一向に起きる気配がない。
もしかしてと思い、もう一度指で縦に一本線をなぞる。
「……ぅん」
起きた。この世界はもしかしてもしかするのかもしれない。
そうだとすればうかうかしていられないが、今はいいかな。
「えー……っとぉ……ここはどこ?あなたの名前は?」




