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幻想と幻糸  作者: 春風
糸と何か
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試み-Ⅱ-

お母さん目線の話。

魔力の成長ぶりにすっごい焦ってる。

何故でしょう?

 私は戦慄していた。

料理中だったとはいえ、息子に魔法を見られた。

世間では5才までの子どもに魔法を見せるとその属性の魔法が使えるようになるとかならないとか。

なので、都合よく置いてあった火打ち石と打鉄を持ち出して真似事をしてみせた。

もともと片付け忘れていたものだが、置いていてよかった。


 額から汗が流れる。溜まった汗は大粒の雫となって顎からボタボタと落ちる。


 今は一介の主婦だけど、独身時代は名の馳せた魔術師だったのだ。

それがこのザマである。

今年で12になる娘の時はまんまと使えるようになった。



 リースには魔術師にはなってほしくないんだ。

理由は2つ。

一つは私自身の使う魔法が専ら火属性で家で3人も同じ属性とかはやめてほしい。

平然と家燃やしそうじゃない?

家が燃えるって相当目立つじゃない?

目立ちたくないから森の近くに家建てたのに意味がないじゃない……。


 もう一つは「もしリースが魔術師になってしまったら」。

家に同じ属性、もしくは騎士側の人間が被った場合、軍に行かなければならないという国の決まりがある。私は反対だけど。

それで旦那が軍に行ってまだ帰ってきてないんだ。前の戦いから2年も経ってるのに。

それもあって行ってほしくないがために魔術師になってほしくないわけ。



 そんなことと言わんばかりにカチカチ遊ぶように鳴らす息子(リース)


 見ていると持ち方を変えた。鉄のほうを掴むように持ち、石を(つま)むように持って……一気に擦った。



 火花が「何か」に付き、勢いよく走った。

走ったと思ったその方向に顔を向けると息子(リース)がいる。

その後ろに巨大な火球。

家の一回り、いや二回りくらい大きい火球が浮かんでいた。

驚いた顔をしていたのだろう。

こちらを見て、そのあと後ろを見るリース。

ただ「わお」と一言発するだけだった。



 背後には家がある。

後ろを向くと家が燃えていた。

その光景を呆然と見ていた。

というか火球を出してから開いた口が閉まらないままで一言も話せずにいる。

出たのは「っ……」と声にならない声が出るだけ。


家についていた火がひとりでに集まっていく。

集まる先はリースの背後の火球。

家は焦げすらついていない。

まるで最初から()()などついていなかったかのよう。


 何に火がついて、いや、何が燃えていた?

「何が燃えている」ように見えていた?

口を開けっ放しで混乱する私をよそにリースは真顔で燃えない火球を操る。


 火球は小さくなるごとに光は輝きを増していく。

そして、一筋の細い光線を作り、消えた。



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