エネルギーをものにする試み-Ⅰ-
キリのつくところまで試みは続きます(タイトルの数字が増えていく)
「ただいまー」
声の主は母だ。
声の聞こえる方へ向くと上半身が木箱に山積みのジャガイモ……によく似た”ルム”というイモを両手で抱えて帰ってきた。
畑で採ってきたのか、頬に土がついて少し汚れている。
時刻は昼ごはんにするには早すぎる、だけど朝ごはんには遅い、9時半〜10時くらいだと思う。
この世界に時計はあるがこの村では太陽が時計だ。
日の出と共に1日が始まり、日の入りと共に1日が終わるという時間感覚が江戸時代。
他の村は交流が無いのか話を聞かない。
テーブルに置かれた溢れるほどルムでいっぱいの木箱が一つ。
実際、置いた時の衝撃で2つ3つ山から転がって落ちた。
落ちた小さい芋を一つ手に取る。
手の上のルムはジャガイモそのものだ。
断面も黄色、調理時に芽を取っておくことなど何もかもがジャガイモだった。
時間が過ぎること約2時間。ひたすら糸紡ぎの練習をしていた。
母は昼ごはんの準備を始めた。
僕は後ろからその姿を眺めるだけ。全部頭の高さより上、且つ台も無いとなると何もできない。
この村の家はほとんど木造だが、ところどころ一部がレンガ造りのところがあり、家では台所がレンガ造り。
もちろん”かまど”もレンガ造り。
たぶん本当にレンガ積んでるのでは無くて、割ったりしたものを壁に埋め込んでるか貼っていると思う。どう割ってるかはやっぱり魔法なんじゃないかな。
母の背後から眺めている。
母はかまどの前にしゃがみこんだ。
かまどの中に手を向けた思ったら乾いた音が鳴った。
予めかまどの中に入れてあった薪が燃える。
……魔法か?随分生活に即した感じのものだ。
食事中にそれについて魔法なのかと直接問わずに訊いてみたが、やはり「魔法」……のよう。
言葉を濁されている。もしかしたら魔法でも何でもないの かもしれない。
やり方を教えて貰う前に一旦、家の外へ出る。
一応とはいえ火を扱うのでブリキのバケツにめいっぱいの水が用意された。
やり方は火打石と打鉄を持ってきてそれを打ち鳴らす。
打ち鳴らすと火花が出る。
「これと同じようにやるのよ」
でもリースにはまだ早いわと後付を貰う。
石と鉄を受け取り、互いを互いにぶつけ合ってカチカチと鳴らす。
強めに打つと小さく火花が出る。
火を熾すとなると前世はライターが定番アイテム。
ライターは鉄を固定させて石を擦って火花を出し、気化したガスに着火させていたような気がするのだけど…………。




