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作者:晴後小雨
どこまでも沈みこんでいきそうな、暗い空。
絨毯のように広がる漆黒の上に、ともすれば霞んで消えてしまいそうなか細い星の光。
窓ガラスの向こうに点在する光の点を数えながら、ぼくはぼんやりとベッドに横たわっていた。

時計の針は11時を示していた。
深夜とはいえ、街灯の多い住宅街だ。目に見える星の数はとても少ない。おまけに、窓枠で区切られた狭い世界のこと。あっという間に、すべての光の粒を数え終わってしまった。

「………………………」

窓から視線を外す。部屋の天井を眺めながら、ゆっくりと呼吸を繰り返す。
外からの光で、仄かに明るい室内。奥にいくにつれて影が強調されて、見慣れた自室が違う表情をする。

今日の星の数は10。昨日は9。一昨日は8。
10日前、最初の日は確か雨だったか。厚い雲に覆われて隠れていた星が、やっと今日天気に恵まれて見えるようになった。

腕を額に乗せる。視界が半分陰る。時計の針が動く音。身体からじわじわと力が抜けていく。


さぁ、行こう。


誰かのそんな声が聞こえた気がして、ぼくは瞼を下ろした。















冷たい空気を瞼に感じて、ぼくは目を開けた。
夜風に揺れる草木の音。柔らかな緑のにおい。乾いた葉の感触が指先をくすぐる。
そして、視界を覆う満天の星空。
宝石の欠片をばらまいたようだった。遮る雲も、窓枠もない。端から端まで連なる、星屑の海。
何度見ても飽きない。ずっと見ていたいほどだ。この星を数えていたら、きっと一生が終わってしまうだろう。

しばらく星空を眺めていた。おそらく、目を開けてから数分ほど。
微かな音が聞こえた。明らかに生き物が動く音。複数人の忍び足。
名残惜しく感じながら、体を起こす。
そこは芝生の広がる丘の上だった。服も部屋着ではない。肩についた草を払って立ち上がる。
寝ている間に、着替えて移動したわけではない。ぼくの住んでいる街に、こんな広い場所はない。この星空だって、移動できる範囲で見られるものではないだろう。

もう11回目だ。わかっている。
ここは現実じゃあない。
ぼくの日常がある世界とは、違う世界。

ぼくが起き上がったのに反応して、足音が早まった。
3人の人影が、こちらに向かって走ってくる。
掲げられた凶悪な斧が、星明かりに照らされて鈍く光っているのが見えた。

ふっと息を吐く。
突然のことなのに、どうしてか恐怖はない。
むしろ、人影の後ろにも気配があることに気づけるほど落ち着いていた。


人影が分散し、斧が振りかぶられる。
まるでスローモーションのような一瞬。
なぜだか、笑みが零れた。






そして今日も、ぼくは世界を救う。





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