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愛と哀の物語  作者: 鷹弘
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日向音羽は、水無月優に恋してる

 水無月(みなづき)(ゆう)

 高校一年生。高校二年生の兄と、父、母の四人家族。血液型はA型。最近は、カピバラにハマっている。ツヤツヤの髪は、長くて、腰まである。彼女は、大好きな有名人が、愛用してるシャンプーが、お気に入り。

 彼女の好きな人は__実兄、水無月(みなづき)(よう)


  ***


 以上が私の好きな人、優に関する情報。

 優とは幼稚園の時からの幼馴染みで、隣に住んでいる。

 おっとりしてるけど、自分の意思を強く持ってる彼女に恋をしたのは、物心ついて間もなくだったと思う。そして、一緒に過ごす時間が長くなるにつれて、その思いはどんどん大きくなる。

 好きならば、好きだと、今すぐにでも伝えたい。しかし、私と優を邪魔するもの……。それは、性別だ。

 私、日向(ひゅうが)音羽(おとは)は、正真正銘、女だ。心が男だとか、そういう訳では無く、純粋に女として、女の子の優が好きだ。でも、彼女は、実の兄である葉君が好きだった。

 葉君については、よく相談されていた。優は、兄妹同士の恋愛について、なんとも思ってないらしい。だから、私に対して、なんの気兼ねもせず、実の兄に対する恋心を相談してくる。どうしたら、想いが伝わるかとか、葉君のココがかっこいいとか。そんな話をよくされる。正直、辛い時が多い。

 でも、私は知っている。葉君は、他に好きな人がいるってことを。

 でも、優は、何も知らない。私も、何も教えない。だって、教えない方が優のために、なるでしょう?


  ***


「音羽っ!聞いてる?」

「あ……。うん、葉君の話だよね?」

「そう!お兄ちゃんね、今日の朝、近所の山田さんの持ってた荷物、家まで運んであげてたのー!そんなさりげない優しさも、お兄ちゃんの魅力だよねぇ」

 両手を頬に当てながら、ほぅ、と息をつく優。彼女は、今日も葉君の片思いに、気づかない。

「そうだね、葉君かっこいいもんね」

 当たり障りない言葉で、同意を示す。すると、

「……音羽?お兄ちゃんがかっこいいのは分かるけど、狙ったりなんかしないよね?やめてよ、あたし、許さないよ?」

 いきなり真顔になって、牽制をかける彼女。優は、葉君に気を持つようなら、例え幼馴染みの私にも容赦しない。けれど、こんな冷たい表情は、私にしか見せない。絶対に私が取らないだろう、という思いと、こいつにだけは取られたくない、という思いが、彼女にこんな表情をさせる。


 私は、私にしか見せない、優のこの表情が__一番好きだ。

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