カラーレス1話
最高神の鎮座する古城に赤、青、黄、緑、白、黒の色を冠する人間達は集められた。
彼等はそれぞれ色を司る神に力を与えられた男女一組だ。
人類始まりの存在を模したとも言えよう。
「赤のクイーン・スコレ」
「赤のナイト・レナイズ」
始めに赤い髪をした王と騎士の少女が現れる。
「青のキング・タルソン」
「青のダンサー・ベリア」
気だるげな青年と露出の高い女。
「黄のエンペラー・ベンラー」
「黄のウィザード・ウィゼーテ」
背が小さく態度の大きい童女、金髪を床に擦るローブの男。
「緑のシャーマン・ルシーマ」
「緑のトリックスター・リスタ」
植物の蔓で体を覆った少年と妖精のような格好をした少女。
「白の神・ワイズ」
雪のように色素のない者。
「黒の魔・グレンダ」
闇夜を纏う妖艶な女。
「我等はここに戦いを宣言する!」
――戦士はここに集った。
■
「ヒルメイン」
「はい、アリク様」
彼女は混雑の紫を冠する側近だ。
「なぜ白と黒は人間ではなく奴等が?」
「白と黒の世界は、それぞれが無を意味するものであります。そしてお二方は人間が嫌いなので、故に人間が居ません」
「悪の集合体たる黒はともかく、白までも人間が嫌いとな?」
他の神は人間が好きでも嫌いでもない。しかし嫌いでも透明の世界を除外し、人間を作らねばならない制約はある。
白と黒はその理から逸脱しているが、生来から人間の存在できぬ環境である。
故に奴等のもとには人間ではなく天使、悪魔が存在する。
今回の戦いは人間同士の神代行という制約がある。
それ故に二神は自ら最高神へ旨を伝えに来たのだろう。