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島の統治者 1
私は数人しか人のいない島に訪れた。そこは観光者も訪れないくらい魅力のない小さな世界だという話を聞いて惹かれたのだ。
「俺はこんなちっぽけな世界で終わる男じゃないんだ!」
船着き場から降りて荷物をカラカラと引いていると、若者が海に向かって叫んでいる瞬間であった。
ふと目線が合って、気まずそうに彼は立ち去ってしまった。
「お客様、それではお気をつけてくださいませ」
「ああ、ありがとう」
これは驚いた。島の設備はそれほど悪くないのに観光客がほんとうにいないのだ。
「外の人だ!」
「こら!」