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チャットルーム  作者: 橋之下野良
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二人の秘書?

 翌日は、始業早々に、鮎川は、出社している営業本部の部下達を一同に集め、本部長に就任した事を伝えた。

その後は、前日、アポイントを取っていた総務部・秘書課のそれぞれの部課長、担当者と事務手続きの為の話し合いの為、営業本部の会議室に招いて話し合っていった。


 約束に時間に、総務部長と総務課長に、なぜか斉藤秀美が一緒に会議室に入ってきた。


(おいおい、なぜ、斉藤秀美がここにいる?...)


そんな事を考えて待っていると、少し遅れて、秘書課の課長と高橋恵理子が会議室に入ってきた。


(やっぱり、高橋さんが、おれに付くのかな?)


 まず、総務部の部長と課長のほうから、社員から役員になる事務手続きの話をされ、手続きの書類は、斉藤美雪から渡され、それぞれに記入捺印して行った。


 次に、役員就任の為の説明を秘書課長のほうからされて、同じように必要書類に署名捺印して行くと、肝心な役員報酬の記載された書類を渡された。

全く何も話を聞いていなかった鮎川だったが、その額の大きさにさすがに驚いてしまった。

さらに、他に使える経費が格段に増えるとの事と、後日、コーポレートカードを渡されるとの話を、秘書課長のほうから説明も受けた。


 それを聞いた鮎川自身も、驚いたが、なぜかそこにいる斉藤秀美が、悪そうな顔でにやけているほうが鮎川には気になってしかたがなかった。


(一番厄介な奴に聞かれたかもしれないな...斉藤秀美、なぜ、そこで、にやける?...)


次に、営業本部内の個室の本部長室の内装も変えられるとの話を総務部長のほうからされ、その件は秘書を通じて、教えてほしいとの話をされた。

そして、総務部総務課の3人は席を後にして行った。


そこからは、秘書課長と高橋恵理子と話して行くこととなった。


「では、遅れましたが、紹介します。鮎川本部長に付く事になりました、高橋恵理子さんです。」


「鮎川本部長、高橋恵理子です。よろしくお願いします。」


「こちらこそ、よろしくお願いします。高橋さん...」


やはり、高橋恵理子が鮎川付きになるとのことだった。


「それと、高橋さんは、主にスケジュール管理など役員としての本部長の仕事をサポートしていきます。ただ、営業本部内の日常的な業務内容までは、秘書課の高橋では内容的にもできませんので、営業本部内の者で秘書的な直属の部下を置いていただいて、高橋と二人で本部長の業務をサポートしてもらう事になります。」


 鮎川自身も、秘書課長の言う事は、もっともな話だと感じていた。


 営業本部は、それぞれ第1~第5営業部があり、そのほかに全国7支社を統括していたのだ。

それぞれに、部長・支社長が置かれ、本部次長の時もそれぞれが配下の部下であったのだ。

その業務は、多岐にわたったものであり、本部長代行職の次長の時でさえ、直属の自由に使える部下が居なければ、鮎川ひとりでは到底業務をこなす事などできなかったのだ。


 その10人いる直属の部下の一人が、井上恭子だったのだ。


「わかりました。少し考えて、高橋さんと上手く連携できそうな人材は決めますよ。」


 鮎川は、既に、誰にするのかは、ある程度考えていた。

鮎川は、その職に井上恭子を置こうと考えていたのだ。

ただ、高橋恵理子と井上恭子それぞれ、面談をして話を聞いてみないと決められないと思ったので、秘書課長のほうには、その様に答えたのだ。


「じゃ、私はこれで退席しますので、後のことは、この高橋と話して行ってください。」


そう話すと、秘書課長は、席を立ち、会議室を後にして行った。


「高橋さん、改めてよろしくね...いろいろ解らないから、教えてください。」


「いえ、こちらこそ、お願いします、本部長。」


「それでなのだけど、さっき秘書課長が言っていた人材なんだけど、井上恭子さんにしようと、おれは考えているのだけど、高橋さんは、どう思う?」


「はい、井上恭子さんは私と同期入社で、それ以来仲良くしていますから、そうしていただけると、私としても仕事がやりやすいので助かります。」


「じゃ、そう言う方向で、話を進めて行こうか?...じゃ、ちょっと、井上さんも、こちらにこれそうなら、今、呼んでみるね。」


そう言うと、会議室の電話から、鮎川は、恭子のデスクへと電話を掛けた。


『鮎川です、今、手が空けられそうなら会議室に来てくれるかな?...よろしくお願いしますね。』


しばらくすると、鮎川達の居る会議室に、恭子は入ってきた。

恭子が座ると、鮎川は、話し始めた。


「まず最初に、今日から、私付きで仕事をする事になった、高橋恵理子さんです。紹介するまでもないよね。」


それから、鮎川は、恭子に会議室に来てもらった理由を説明して行った。


「そう言う訳なんだよ。それで、高橋さんと一緒に井上さんにサポートして行ってもらいたいのだよね...どうかな?、井上さん?」


鮎川が、話し終えると恭子は笑顔で答えた。


「任せてください、鮎川本部長!...高橋さんと私で本部長をお支えしていきます。恵理子さん、2人でがんばりましょう!」


「わたしも、恭子さんなら、安心して仕事ができます。恭子さん、こちらこそよろしくお願いしますね。」


「じゃ、そう言うことで、お二人ともよろしくお願いしますね。井上さんは、部内での業務の変更だから人事部を通す話でもないし、今、やっている業務を、すぐ、今週中にでも他の者に引き継ぎ次第に、配置を変更するつもりで動いてくれるかな?」


「わかりました。デスクの場所も移動ですか?」


「そうなるね。高橋さんと一緒に、本部長室のほうになるから、移動する手筈は、高橋さんとも相談してやっていってください。」


鮎川が、そう話すと高橋恵理子が鮎川へと問いかけてきた。


「本部長?、本部長室の内装などはどうしますか?デスクなども新調できますよ?」


こういうことも、鮎川自身は面倒なのである。

今、有るもでも良いと考えてはいるのだが、そうも行かないようなので、二人に任せてしまおうと考えたのだ。


「そう言うのは、おれは苦手だから、高橋さんと井上さんの二人で決めて、それもやってくれるかな?...それまでは、今のままで、おれはいいから!」


そう言うと、なぜか、恭子は楽しそうな顔をして微笑んでいた。


「本部長、任せてください!恵理子さんと良い内装を考えますからね!、がんばりましょう、恵理子さん!」


「はい、恭子さん...」


(おいおい、そんなに頑張らなくてもいいから、普通でいいからね...普通で...)


そう心の中で思いながら、少し苦笑するように、二度三度と鮎川は頷いていた。


こうして、鮎川には、秘書課の高橋恵理子と直属部下の井上恭子の二人が、実質的な秘書として付く事となった。


しかし、後々、鮎川は、この二人の秘書達にも悩まされていくのだが...

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