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チャットルーム  作者: 橋之下野良
19/33

チャットルームに来た、ある女...

 その日の朝は、昨夜の飲酒のせいか、鮎川祥吾は、週末の休日とはいえ、昼近くの遅めの時間に起床した。


 鮎川は、部屋の掃除をして洗濯も済ませると、少しでもできるときは自炊もして行こうと考え、近所のスーパーマーケットへと買い物へ出掛けていった。

かなりの量の買い物をすると、両手一杯に荷物を抱え、いそいそと自宅マンションへと歩っていた。

 ふとその時、鮎川は、昨夜、自分がなぜか参加してしまった恭子たちの女子会の事を思い出していた。


(そうだ、井上さんと山崎さんに浴衣を買っておけと言われていたっけ!...彼女達が来るのが来週末だから、今日明日には準備はしておかなくてはいけない訳か!...浅草のほうの呉服店にでも見に行ってくるか...)


 鮎川は、そう考えると、自宅に戻り、買った荷物を置くと、歩いて浅草のほうまで足を伸ばして行った。

何件かの呉服店がすぐ見つかったが、その中で男性の浴衣がショーウインドーに陳列されている呉服店に入ってみた。


 鮎川が店員に事情を話すと、すぐに対応をしてくれて、帯や履物まで揃えてくれるとのことだったので、お願いする事にした。

何点か浴衣は見せられたが、鮎川は濃紺の細かい柄の入ったものに決め、一応サイズの確認のために羽織らせてもらい、その浴衣で決める事にした。

鮎川は、何もわからなかったので、その他の物も店員の進めるの物を全て購入する事にした。


 店を出て自宅へ戻ろうとした鮎川は、ふと立ち止まり考えた。


(大人数の女性が来て、飲食を自分の部屋でするという事は、リビングテーブルだけでは小さいか?...それに、クッションか座布団も要るだろう!...やれやれ、他人を招き入れるということは大変な事だな...)


 そのように考えると、鮎川は、街の中に在る、家具店を探した。

一軒の家具店を見つけると、折りたためる、卓袱台とクッションのような感じの座布団を6個購入した。

個人経営のお店で鮎川の部屋が近所との事がわかると、店主自ら運んでくれるとの事だったので、有り難くお願いする事にした。


 鮎川は、これで一安心と胸をなでおろす気分で、自宅マンションへと帰って行った。


 自宅の部屋に戻ると、時間は午後の3時を過ぎに既になっていた。

夕飯は、せっかく買い物をしてきたので、自分でパスタでも久しぶりに作ろうと考えていた。

 鮎川は、夕飯までの少しの時間、ネットでも観て過ごそうと思い、ノートPCを持って来て、リビングテーブルの上に置き電源を入れて起動させた。


最初は、ニュースサイトなどを観ていたが、しばらくすると、例のチャットルームサイトを開いていた。


(ちょっとだけ、チャットで誰かと話してみるか!...)


そう考えると、記入フォームへ文字を打ち込んで行く...


[ネーム:ショウ(男) 45歳 都内 ]


[あなたは、ご主人・奥さんにどんな秘密がありますか?雑談的に話しましょう!]


入力フォームに文字を打ち終え送信ボタンをクリックして、鮎川のチャットルームが作られた。


 鮎川は、コーヒーを飲み音楽を聴きながら、訪問者が来るのを待っていた。

しばらくすると、訪問者の来訪を伝えるアラートメッセージがスクリーン上に現れた。


 鮎川のチャットルームへの来訪者の入室である。


(誰か来たか...女性のようだな...エリー?、まさか外人さんじゃないよな?)


鮎川は、ひとり薄ら笑いを浮かべて、そんなくだらない事を考えながら、チャットでのやり取りを始めていった。


『こんにちは!』


『こんにちは、慣れてはいませんがよろしくお願いします。』


『こちらこそ、よろしくお願いしますね...』


 このとき、鮎川もその相手の女性もそれぞれが、今後、お互いが気付かないままに、深く関わりを持ってしまうなどとは知る事もなく、チャットルームでのやり取りをしてしまうのであった。

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