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チャットルーム  作者: 橋之下野良
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チャットルームに来た、ある男(1)

 ここ最近の鮎川は、自宅の部屋に戻ると、洗濯や入浴など一通りのことを終えると、就寝までのひと時は、ノートPCに向かいチャットルームでの他人との話を楽しむようになっていた。


 テーマは、いろいろだったが主に結婚生活についてのことが殆んどだった。


男女それぞれと話す鮎川だったが、やはり、鮎川が男である為に女性の訪問者が7・8割りで圧倒的に多かった。

日に、2・3時間で、2・3人の訪問者と話すことが出来ていたので、鮎川も次第にチャットでの会話にも慣れてもきていた。


 いろいろ話していくと、きわどい内容のものが意外に多く、中には、夫以外の男性の子供を生んで夫の子供として育てている奥さんや、同居の夫の父親と関係を続けている奥さんなどもおり、夫はもとより世間の誰にも話せないような秘密を抱えている女性が意外にも多いことに鮎川は驚いていた。


(こう、話していると普通の女性のようなのだが、夫婦でも夫には言えない秘密を抱えている女性は、考えていた以上に多いのだな...女性は恐ろしい面も持っていると感じるし、いくら夫婦でも、所詮は他人ということか...)


 こう言った話は、匿名のチャットルームだからできる話であるのだろう。


 友人や知人にでさえ話すことの出来ない秘密を人は持っているという事をチャットルームで話すことで、鮎川は判ってきたし、誰にでも表面上の表が在るのであれば、必ず大なり小なりの裏の顔が人には在るのだということを、鮎川は初めて痛感したのだ。


 それがたとえ夫婦で在ろうともだ!


 そう考えた時に、元妻の啓子のことを考える鮎川は、自分は本当に妻を理解していたかどうかを、だんだんと疑問にも感じて来てしまうだった。


(ひょっとしたら、恭子の言うように、おれは元妻、啓子のことを何も解っていなかったのかも知れないな...)


 そんな事を考えながら、鮎川はソファーに腰を下ろしてビールを飲みながら、ノートPCのスクリーンを眺めていた。

 その時、チャットルームに訪問を告げるアラートメッセージがスクリーン上に点灯された。


(おや?...今日は珍しく男性のようだな?...話してみるか。)


そう思いながら、鮎川はキーボードを叩いてチャットでの会話を始めて行った。


『こんばんは』


『こんばんは!はじめまして、よろしくお願いします』


『こちらこそ、よろしくお願いします』


『ひと時の時間ですが、楽しい会話をお願いしますね!...それで、どんなお話ですかね?』


『はい、実は私の妻を口説いてはいただけないでしょうか。』


(何だと!...どういうことなんだ?...)


唐突な男の話に、鮎川は驚いた。


『どういうことなんですかね?...もう少し、具体的にお聞かせください...』


『はい、私が知っている事を妻には内緒にして、口説き落として、あなたに私の妻と交際して欲しいのです。』


 男の話は、意外のものだった。


困惑をした鮎川ではあったが、この後、男との会話を深夜まで続けるのであった。

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