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チャットルーム  作者: 橋之下野良
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序章

この物語は、実体験を元に創作して描かれています。

現実の方が、生々しい部分は柔らかく味付けして、逆の場合は、脚色して書いて行きます。

「現実は小説よりも奇なり…」と言いますけど、そんんな事もまれに起こるのですよね…


それと、チャットルームという現代のネット社会と、古典的な東京下町の情緒なんかも、物語の中で交差させて表現できたら良いかと考えてもいます。


なんとか結末まで、書き切って行きます。







 仕事を終えて帰宅途中に夕食を済ませた鮎川祥吾は、まだまだ、慣れない独り暮らしの部屋へと帰宅した。

部屋に入ると鮎川は、冷蔵庫から、缶ビールを取り出し、プルトップのふたを開けると一気に飲み干した。

もう季節は5月になり、日によっては蒸し暑い。

この日も、仕事を終えて帰宅した時のビールは格別に美味いものに感じた。


 リビングのソファーに腰を下ろし、ノートPCを起動させ、ネットでその日のニュース記事を読んだりするのも、毎日の日課でもあった。

一通り、気になる記事を読み終えると、入浴して、就寝するまでの数時間は、先日からはまってしまっていた、2ショットチャットルームを覗く事だった。

元来の話好きな鮎川にとっては、独り暮らしをはじめてみて、帰宅後の独りの時間に他人と話す事のできる面白いツールとして楽しんでいたのだ。


 当初の鮎川は、チャットルームサイトを発見したときは、他人の会話を覗いてみる事が殆どであった。

サイト利用者は、会話を覗かれている事は承知しているので、皆、匿名で赤裸々な男女の会話を楽しんでいるようであった。

鮎川自身も、当初は、そんな会話を興味深く、覗いていたのだ。


 しかし、先日から鮎川本人も、話したいテーマを考えて、自分のチャットルームを開いて話すようになって行った。

テーマは、結婚生活で疑問に思ったことを中心にしてみたら、意外にも多くの訪問者と話を楽しめるようになって行ったのだ。

 鮎川は、このようなチャットルームサイトでは珍しく女性に限らず、男女供に不特定多数と話す事が出来るようになって行ったのだ。


 風呂上りの鮎川は、ソファーに腰を下ろすと、リモコンスイッチでオーディオのCDをかけて、好きなボサノバを聞きながら、ノートPCに目を通し、チャットルームサイトを開き、自分のチャットルームを作って行く。


(さて、今日も、いつものテーマで話してみようかな...)

鮎川は、キーボードに文字を打ち込んで行く。


[あなたは、ご主人・奥さんにどんな秘密がありますか?雑談的に話しましょう!]


(さて、今夜はどんな話が出来だろう?...)


しばらく待つと、入室を知らせるアラートメッセージが入ってきた。


(ん?...男性のようだな...とりあえず、話してみるか!)


『こんばんは』


『こんばんは!はじめまして、よろしくお願いします』


『こちらこそ、よろしくお願いします』


『ひと時の時間ですが、楽しい会話をお願いしますね!...それで、どんなお話ですかね?』


『はい、実は私の妻を口説いてはいただけないでしょうか。』


(何だと!...どういうことなんだ?...)


唐突な男の話に、鮎川は驚いた。


『どういうことなんですかね?...もう少し、具体的にお聞かせください...』


『はい、私が知っている事を妻には内緒にして、口説き落として、あなたに私の妻と交際して欲しいのです。』


 男の話は、意外のものだった。


しかし、鮎川がこの男の話に興味を持ってしまったのも事実であった。

その時の鮎川にとって、後に苦悩が待ち受けているとは知らずに...すべては、この日から始まったのだった...

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