人狼シリーズ~忘れないさ
とある狼好き様との合作サイトです。今回はみづき海斗担当ですvv
忘れないさ。
忘れないさ、君のことを・・・・・・
あの冬の冷たい雪の中で、凍えることさえ知らずに、俺たちは抱き合ったね。
「バッテリーがもう切れるの。」
彼女は、第四次世界大戦で使われたアンドロイド。
俺はその戦争の放射能で人狼になった。
何もかも、俺たちは似ていた。
あの戦争さえなければ---
でも。
あの戦争があったから俺たちは姿を気にせず、お互いを愛し合えた。
雪と名づけた彼女のバッテリーはあとわずか。
残された時間は、3時間。
「kissする?」
にっこりと笑って彼女ははかなげに言った。
そうだね。
それもありかもね。
「普通、kissは1回だよ。」
しんしんと。
しんしんと降り注ぐ雪の中で、彼女の命は尽きたーーー
俺たちはお互い一人だった。
一人だったからこそ、俺たちはお互いを愛し合えた。
人を超え、アンドロイドを超え。
永遠がこれほど、儚いものだと俺たちは知らなかった。
失ってから、俺は余計、彼女の存在の大切さを知った。
ああ。
そうするよ。
雪の面影を抱いて、俺は旅に出るよ。
もう、一人じゃないからね、君がいたから。
愛してる。
愛してる・・・・・・
勿忘草を彼女の白い大理石の墓に添えて、俺は旅に出た。
だから。
忘れないさ。
勿忘草を見るたびに、君は俺の中で行き続けていると。
もしかして。
それが永遠というもの?
どうでもいい。
俺は雪を愛し、最期まで看取った。
〔私のことで泣かないで。〕
何処からか、雪の声が聞こえた。
ああ、そうだね。
もうすぐ、春が来るから君は雪の女王だったんだね。
冷たい季節が終われば、君の墓も暖かい陽射しを受けるよ。
安心して眠りな、雪---
感想をお待ちしております(__)ぺこり