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06 異世界転移

「うわー。また神様ロボット壊れちゃったよ」

「廃棄処分魂、最近質悪いもんね。いやまあ、質が悪いから廃棄処分になるんだけど」


「よし、多分これで大丈夫」

「うーん、一応チェック完了。多分問題なし」


「………………」

「………………」


「多分なのかよ」

「そっちこそ」


「いやだってねえ。もう何年このロボット使ってると思うの。壊れては修理しての騙し騙しなんだよ」

「こっちだって検査装置が古すぎるんだよ。一応問題なしって出ているけど、検査装置自体の検査ができてないんだから」


「ちょっとちょっと。それ大丈夫なの。担当者は何やってるの」

「仕方ないんだよ。最近文明とか文化とかの進み具合が速すぎてさ。もう話が通じればいいや。廃棄処分に同意してくれればいいやって感じなんだよ」


「うわー、やだなそれ。って、次が来たよ」

「わわわ、急いで退場しなきゃ。腐った魂と接触したら、こっちまで堕天しちゃうよ」


☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 俺は…そうか、トラックに轢かれたんだ。

なんかあの世っぽいな。って、あれ神様じゃん。

やりー、俺勝ち組じゃん。

これこれこれ。これを待ってたんだよ。異世界転移ひゃっほうだぜ。


「あー、お主が間違って死んでしまった伊勢回転域防火?」


「おう、そうだぜ。っていうか、なんか発音おかしいな。ま、ミスって俺を殺しちまうような神様じゃー、仕方ねぇか。

 早速俺の希望……」


「おー、いえー。まいっちんぐ。連れてってやんよ」


「は? 何言ってんの。っていうか、近い近い。ぐぇっ、抱きつくなって……

 ちょ、マテ、やめ……アーッ!」


 俺は異世界の扉をこじ開けられてしまった…。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆


「うーわー、気持ち悪ー」

「映像切っておいて正解だったね。いや、声だけでも聞きたくなかったけど」


「どうしよう…。このあと、あれをメンテナンスしたくないよ。泣きたいよ」

「こっちだって同感だよ。というより、あれって耐久限界越えてるよね」


「………………」

「………………」


「越えてるね。仕方ないね」

「越えてるよね。だったら、いいよね。ポチッとな」


☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 異世界の波に翻弄されていた俺は、突然落下するのを感じた。

どんどんと落ちていく先に光が見える。どうやら今度は本当に、本当の異世界に転移するらしい。


 光の中に飛び込み、やがて世界が形作られる。

そして人の気配が。


「おお、勇者さ・・・ま・・・? な、なんなんですかぁ、それーっ!!」


 あ、俺の異世界をこじ開けたのも一緒に付いてきたんだ。

ははは、もういや、マジ死にたい。

つーか、早く俺を不敬罪で殺してくれ。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆


「まったく、あなたがたはなんてことをしてくれたのです」

「「ごめんなさーい」」


「おかげでまだまだ収容能力のあった処分地が、勇者召喚を取りやめてしまったのですよ。

 しかも禁呪指定にして。これではもう、あの地を使うことはできないでしょう」

「「ほんとうに、ごめんなさーい」」


「まったくもう。とはいえ、今回は仕方ないでしょう」

「「えっ?」」


「状況が状況です。あんなものが発生したら、とっさに捨ててしまっても非難はできないということです。

 実際もし放置していたら、ここが汚染されていたのかもしれませんしね。

 ですので、差し引きで帳消しということにします」

「「ありがとうございます!!」」


「次からはああいうふうにならないよう、案内機器も検査機器も更新を早めるそうです。

 では、あなた方もがんばってくださいね」

「「はいっ、ありがとうございます。がんばります!!」」


 こうして世界の平和と安全と清潔さは守られたのでした。

他の世界まではシリませんけどね。


(おしまい)

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