04 俺YOYOEEEEEEEEE!!!!
俺は異世界転移者だ。いわゆるダンプである。ちがった、トラック。
チートをもらう時は考えに考え抜いた。
結局完璧は思いつかなかったので、最強の肉体とスキルをありったけもらった。
そしていま俺は、…食われている。
「ぎゃああああああ。痛えよお。死ぬう。ひぎゃあああ。ぐべらあああ」
「うるせえぞ、カス。黙って食われてろ!」
俺は確かに最強の肉体とスキルを手に入れた。
だが、戦えなかった。怖い。ガクブル。ションベン漏らした。脱糞した。
だって、モンスターがあんなに怖いなんて、誰が想像できるかってんだよ。(※1)
俺は平和な日本人である。
戦ってはいけない民族なのである。
むしろ戦闘は犯罪。だめ、いけない、ノータッチ。
そんな俺は、村で厄介者扱いをされている。
さすが中世ヨーロッパ風。(※2)
生活保護がない。自宅警備員を雇ってくれない。
しかたなく働く。俺負け組。
そんな俺の仕事は、囮。生贄。食われること。
いくら不老不死だからって、それはないだろう。
しかし冷たい視線の槍が痛い。
俺はMではないのである。
モンスターに食われるのは痛い。
どちらにしろ痛いのなら、分前をもらえる方がいい。
でも、食われるのは痛い。
「大物狩猟を祝って」
「「「かんばーい!!!」」」
俺のおかげというのに、村の奴らは自分たちだけで盛り上がっている。
俺は隅っこでちびちびしているというのに。(※3)
ここは異世界。日本の法律は及ばない。
なのに俺は楽しめない。くそう。
システム音声:スキル《毒物無効》が発動しました。
ちくしょう、酔えねぇよう。
あぁ、なんで俺は酔い耐性マックスな肉体とか、状態異常無効化のスキルを取りまくったんだろう。
これさえなければ、幸せになれたのかなぁ…。(※4)
(おしまい)
※1:おまえの想像力が欠如しているだけである。いわゆる想定外連呼者。
※2:どの時代だろうと、無駄飯食いを養おうという数奇者はいません。
※3:あなたがコミュ障なだけです。
※4:即死で終わります。攻撃スキルを山ほど持っているのに、怖くて使えないようじゃ話になりません。