プロローグ2
21世紀前半、世界は何の前触れもなく、それまでただの伝説やお伽噺の住人としか思われていなかったエルフ・ドワーフ・ドラゴンなどが実在する幻獣界と融合した。
この大融合といわゆる災害を生き残ったわずかな歴史学者、生物学者、物理学者たちによると、規模の大小はあれ地球の歴史上でも幾度も近いことは起こっていたんじゃないかと発表していた。
説明に用いられる代表的な事例としては地球の古生代前半である約5億5千年前のカンブリア紀時代を語ることが多い。
化石からはそれまで数十種しかいなかった地球上の生物群が、この時を境にして多種多様な生物進化が始まり短期間に1万種以上もの新種生命体が生まれた。
そして人類の祖先も含めて様々な生物進化の方向性がこの時代に形作られたといわれている。
その原因については長らく不明であったが、もしこれが大融合と同じ現象、他次元世界との接触で異なる生命体同士が混じり合った突発的な進化ではなかったかというのだ。
また面白いのはかつての旧世界に幻獣界を表すような魔法が発達した異世界の話があったように、幻獣界側にも科学という別の文明形態が発達した異世界の伝説があったことだろう。
2つの世界は互いの無意識下では以前から繋がりあり、何らかの形で影響しあっていたのではないかというのが定説だ。
そして大融合では大きな地震を思わせる世界規模の改変の後、近代的なビルや構造物は次々と異世界の自然に飲み込まれ、様々な2つが混じり合う新世界が生まれていた。
だがまだそれだけなら悲劇の成分は少なかっただろが、予定外の異なる世界同士の重なりは大きな悲劇を生む。
お互いに相手を認識する間もなく世界規模でそれははじまった。
恐ろしいほどの規模・スピードで進む疫病の発生である。
それぞれの世界で独自の進化を遂げていた微生物・細菌に対し両世界の生物の大半は無力だったのだ。
旧世界の人間(ヒューマン種)にとっては夏風邪でも亜人種にとっては不治の病。亜人種にとっては発症すらしない病原菌が人間にとっては致死性の猛毒であったりしたのだ。
これらは規模の大きさは違えど旧世界でも西欧人が新大陸発見などで原住民に接触したときにも互いに起こった。
あまりにも隔絶していた世界が出会うとき、それに抵抗する抗体が体内に無く致命的な疫病が蔓延する。
旧世界の科学はこれを知っていたし、幻獣界の知識層も記録としては知っていた。
時間があれば科学が抗体薬を開発することも、魔法が対応する治癒魔術を作り出すこともできたかもしれない。
だが膨大な種類の細菌・病原菌に対応出来るだけの時間も人手も両世界ともに不足していた。
当時の旧世界ヒューマン種 約70億人・幻獣界 亜人種たち 約10億人、その大半が1年以内に死亡した。
混乱から科学の頂点を極めていた現代文明は崩壊。併せて両世界の大半の国々も消滅するという未曾有の大災害となる。
かつての物理法則・世界地図すらも変化し、魔法までが実在するこの新しい世界を人々はネオアースと呼んだ。
(それ以前の地球文明を旧世界、エルフやドワーフたちがいた世界のことは幻世界・または幻獣界と呼ぶのが一般的)
大融合から100年、ネオアースに住む人口は新たな抗体を持ったヒューマン・亜人種により回復傾向にあり、確かなことは分からないが併せて5億~8億人ほどではないかと言われている。
う~ん、ここまで書いておいてなんですけど世界観の説明要らなかったかなw読みにくいし、ややこしいですよね。