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吉井対田中  作者: 野球拳
1/1

プロローグ・吉井編

 『四番ピッチャー吉井よしい君』

 この男がまた打席に入る。


 今日は夏の甲子園出場校を決めるための広島県大会・準々決勝。

 去年、県準優勝の水没館高校すいぼつかんこうこう対福川商業ふくがわしょうぎょうの戦い。

 俺が今日、この試合を見に来たのは吉井を一目見るためだ。ベスト8に名前が挙がるのが、32年ぶりの福川商業を1年のこいつが相手のピッチャーを打ち崩し、完封をしてここまでやってきた。

 水没館高校のピッチャーの熊田政史くまだまさしはMax149㎞のストレートに、チェンジアップなどの変化球で緩急を使って打者を打ち取る。

 しかし、一回の裏、二死二塁。吉井はツーストライクワンボールからの4球目のチェンジアップをスタンドに運び先制した。

 そこから熊田は崩れた。ストライクが入らず四球の連続。ストライクが入ったと思いきや、真ん中への甘い球で痛打を浴びる。

 なぜこのようになったかはわかるであろう。彼は、速い球で追い込んだ後、自分の一番自信のある決め球【チェンジアップ】でタイミングを外し、三振を狙いに行った。だが、打ち取ることはできなかった。

 天才・吉井。

 完全にタイミングを外された、吉井だったが、何とか足で踏みとどまり、バットの先端で詰まらされながらも、フェンスオーバー。

 それが答えたに違いないだろう。


 今は四回の裏、1-10。

 二死三塁二塁。マウンドに熊田はいない。

 相手は敬遠とまではいかないが、アウトサイドのストライクゾーンよりもボール2つ分くらい離れたゾーンへキャッチャーはミットを構える。

 背番号18の1年ピッチャーにコントロールはなかった。

 外に投げるつもりが、完全に内側に入ってしまい、打球はレフトスタンドへ吸い込まれる。

 1-13。

 

 



 五回コールド。2-13

 まさか誰もがあの水没館がダークホースに敗れるとは思いもしなかっただろう。

 いい記事が書けそうだ。

次は田中編です。

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