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第七話

「…ん? これって────」


自室に戻ろうとした璃愛の足が、不意に止まった。


廊下の壁にかかった古びた館内地図。


先程の部屋に行く際も通った廊下だが、あの時は油断した瞬間に恐怖に押し潰されてしまいそうで、周りを見る余裕などなかった。


そのためか、璃愛はその地図の存在にすら気づけていなかった。


館内地図で一際目立つのは、唯一歪んだ“図書室”の文字。


後から人の手によって書き加えられたかのように、その文字だけが歪な形をしていた。


彼女の視線は、自然とその文字に吸い寄せられる。


「明日の十時までは自由時間なんだっけ…。」


思い出すようにそう呟く様子からは、彼女の好奇心が溢れ出していた。


────気づけば一歩、また一歩と図書室へ向かう足。


“近づいてはならない”


本能がそう語りかけてくるも、それを止めようとする意思は、まるで水の中で叫ぶ声のように、彼女自身にすら届かなかった。



「…来ちゃった。」


物騒な雰囲気が醸し出される扉を前に、璃愛は薄ら笑いを浮かべた。


おちゃらけたことを言って緊張をとこうとしているのか、その笑みは少し引きつっているようにも見える。


彼女はその場で深呼吸をすると、間をあけてから目の前の扉へと手を伸ばした。



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