第四話
一. 参加者の中には“獣”が紛れている
二. 夜が明けるたび、我々は裁きを下さねばならぬ
三. 嘘を見抜け、でなければ死が訪れる
四. 村人はただの傍観者ではない
五. 獣を討たねば、お前が獣になる
掟の最後の一行を読み終えた瞬間、璃愛の心臓は喉元まで跳ね上がった。
手のひらにじんわりと汗が滲む。
震える指先で、璃愛は次のページの端を掴んだ。
「っ、次に行かなきゃッ。」
そう思うものの、彼女の手はその意思に背くかのように動かすことが出来なかった。
“恐怖”という感情が、心の奥底で足掻いているのだろうか。
一呼吸おくと、璃愛は覚悟を決めるようにゆっくりとページをめくった。
白紙の中央に、静かに、しかしはっきりとした文字が浮かび上がる。
― 貴方の役職は村人です ―
その一文が璃愛の胸を締め付けた。
村人――それはなにかの戦いの当事者であるということ。
彼女はまだこの館で何が起きているのか、これから何が待ち受けているのかを知らなかった。
コン コンッ
ノック音が重く、ゆったりで、まるで時間が止まったかのように感じられる。
璃愛は部屋の扉へと顔を振り向く。
「…誰だろう。」
少しの不安を抱えながらも、璃愛は扉を開けた。
「えと、どうかしまし」
「皆さんがお待ちです。」
扉の向こう側に姿を現したのは執事であった。
彼は璃愛の言葉を遮り、その一言を言い放つ。
無表情で、謎が深い。
その瞬間、璃愛の背筋にすうっと冷たいものが走った。
目の前の気迫に、なにやらおぞましい気配を感じて押し潰されそうになる。
自身の喉から息を呑む音が聞こえた。
言葉が詰まり、体の芯から震え上がる。
そんな彼女に気付かずにいてか、執事は無言でその場から歩き出した。
驚きと戸惑いという二つの感情が同時にこみ上げてくるなか、璃愛は少し焦った様子で小走りしながら執事のあとを追いかけるしかなかった。




