第十三話
—沈黙が言葉より雄弁な部屋—
視界を一瞬にして埋めつくした会議室は、その言葉がまさに相応しいと心の底から思えるような、そんな有様だった。
部屋の隅にポツンと置かれた枯れた観葉植物は、小さな音を立てて自らの葉を揺らす。
それはどこか胸騒ぎがしてならない璃愛の耳元で囁くようであった。
そんな空間で璃愛の瞳の向こうを占領したのは、会議室内で一番広く面積を陣取っている会議机だった。
楕円形の大きな机。
傷や引っかき跡の残ったそれを囲むように、八つの黒革の椅子が置かれている。
そのうちのひとつは倒れており、その様子はまるで抵抗した末に倒れたように転がっていた。
璃愛が会議室へと来る数分前まで、そこに誰かがいたかのようなそんな気配を残して。
「…誰もいない……?」
辺りを見渡して一番に彼女の口からぼそっと投げ出された一言。
案内されていた数秒、彼女が気付かされたのは今ここには璃愛以外には誰もいないという事実だった。
彼女が一番最初に会議室へと案内されていたのだ。
けれど、そんな一人の時間も長くは続かず、数分後には昨日集まっていた参加者全員の顔が揃っていた。
執事はいつからそこにいたのか、突然彼女らの前に現れる。
「…今、この瞬間から本格的に人狼ゲームを開始します。」
淡々と感情の揺るぎが一切感じられない、まるで録音音声のような口調。
その目は、人間を見ているようで見ていない。
その一言だけを参加者たちに告げ、執事は部屋の端でピタリと動きを止めた。
その姿は彫刻のように、そこに置かれているようであった。
彼が口を閉じたことで、会議室内は静寂に包まれる。
その静けさは“沈黙”という言葉すら煩わしく思えるほどだった。




