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第十二話

「お待たせいたしました。会議室までご案内します。」


扉を開けた瞬間、彼女の目線の先にあったのは執事であった。


“会議室”


璃愛は今からそこへ案内された先のことを思い、身構えていた。


先日執事の口から聞いた“覚悟を整えておいてください”という言葉を、璃愛は未だ忘れてはいなかった。


忘れていないからこそ、これから起こりうる予測不可能な事態に身を震わせながら、その場の流れに従うしかできない。


「……。」


斜め前に立つ執事が、璃愛に向けて小さく頭を下げた。


気づけばそこはもう会議室が目の前にあって、璃愛にはそこに立ち入る以外の選択肢など残されていなかった。


扉の前、空気は静かで、執事の呼吸の音さえも聞こえてしまいそうだった。


ただ、その静けさが逆に耳鳴りのように不快な音となって璃愛の耳に強く残った。


逃げ出すことは許されない———その先に待ち受けているのは、己の“死”のみである────


直接そう言われたことなどないのに、この館に居ては、そう感じざるをえなかった。


“私は明日、目が覚めるだろうか”


そんな思考が彼女の脳内を埋め尽くす度に、璃愛の精神は端々から崩れていく。


扉の先の会議室は、この館内にどこかしこも漂っているような重苦しい雰囲気で璃愛の体を包み込んだ。




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