永遠の愛を誓ったはずなのに、なんでハーレム作ってるの?
短めです!
最後まで読んでいただけると嬉しいです!
「ミーナ王女!」
メイドのナタリーに声をかけられた。
どうやら勇者一行が魔王討伐に成功し、魔王城から帰還したらしい。
急いで身支度を済ませた私は、すぐに謁見の間へ向かった。
勇者の名前はフミアキ。
前世の夫・文昭と同じ名前だ。
私には前世の記憶がある。
日本人だった頃の記憶がね。
前世の私はファンタジーが大好きで、よくラノベを読んでいた。
特に異世界転生モノが大好きだった。
前世の夫とは大学で出会い、「ファンタジー好き」という共通の趣味で意気投合した。
そして、私達はすぐに付き合った。
お互いにとって、初めての恋人。
色々あったが、交際10年で彼のプロポーズを受けて、私達は結婚した。
ロマンチックな結婚式を挙げて、私達は〝永遠の愛〟を誓った。
しかし、その1年後、夫は蒸発した。
その日、私は体調が悪くて会社を早退し、病院に行っていた。
診察結果は『妊娠』だった。
私は嬉しくて夫に電話をかけた。
しかし電話は繋がらない。
圏外だ。
それから1ヶ月、夫は帰って来なかった。
どこに逃げたの?
どうして逃げたの?
分からない。
それから私は自棄になり、お腹の赤ちゃんと共にマンションの7階から飛び降りた。
そして目が覚めると、ベルフォーリア王国の第三王女に転生していたのだ。
大好きだった異世界に転生し、王女という身分を与えられても私の心は満たされなかった。
大好きだった文昭はもうどこにもいない。
だから勇者の名前がフミアキだと聞いて、期待してしまっていた。
もしかしたら文昭もこの世界に来ているのかもしれないと思ったから。
◇
謁見の時間になった。
英雄を歓迎する爽やかな音楽と共に、勇者一行が姿を見せた。
そして、期待に胸を膨らませる私の目の前に現れたのは紛れもなく文昭だった。
でもその周りには3人の美女がいる。
お姉さん系金髪巨乳エルフ(魔法使い)
活発系赤髪巨乳美女(剣士)
清楚系銀髪巨乳美女(聖女)
バランスの良いパーティーね。
全員が巨乳なのは、貧乳の私への当てつけかしら?
私は前世でも今世でも貧乳だ。
さっきから「フミアキ様!」って呼ばれているようだけど、呼ばせてるのかしら?
妻だった私でさえ、そういうプレイはたったの1度しかしていないのに!
あっ!腕なんか組んじゃって⋯⋯。
人前でくっつくの嫌がるタイプだったでしょ?
なんでそんなに鼻の下を伸ばしているの?
そうこうしているうちに、文昭達は王様に報告を済ませていた。
そして食事会が始まる。
この食事会には、魔王討伐を祝福するため、たくさんの貴族達が集まっている。
普段は陰湿な貴族達だが、信じられないくらい爽やかな表情をしている。
それも当然だ。
魔王の危機が去ったのだ。
それは喜ばしい。
いや、やっぱり喜ばしくない。
私達、〝永遠の愛〟を誓ったわよね?
私は文昭を睨みつけた。
私の視線に気付いたのか文昭はこちらを見ているが、理由が分からないようで、きょとんとしている。
あのマヌケ面、何度見ても腹立たしい!
そして私は文昭に近寄り、こっそりと話しかけた。
「失礼ですが、勇者様には妻がいらっしゃるとお聞きしましたが?」
「えっ!?なぜそれを⋯⋯」
私はカマをかけたつもりだったが、かなり驚いてあっさりと認めた。
あまりにも大声で驚くので慌てて黙らせる。
内容は周りに聞こえていないが、注目を集めてしまった。
ハーレムの小娘共も不思議そうにこちらを見ている。
私のことを睨んでいるようにも見えた。
フンッ!
〇〇〇じゃなくて指を咥えて見てなさい!
「私は美奈よ。覚えてる?あなたの妻だった⋯⋯」
「えっ!?ほ、ほんとに!?」
久しぶりに会えて嬉しいのか、文昭の目には涙が浮かんでいる。
親しげに話す私達を見て、ハーレムの小娘共は妬いているようだ。
「それで、あの小娘共は誰なの?今のガールフレンドかしら?」
「ち、ちがうよ!彼女達は僕のパーティーで、魔王の討伐にも協力してくれたんだ!」
慌てふためく彼を見て、嘘じゃないことはよく分かった。
だって、彼は嘘をつくような人じゃないから⋯⋯。
「私と違ってスタイルも抜群ね⋯⋯」
「女の子ばかり集める必要あったの?」
「また、様付けで呼ばせてるの?」
「私とは腕を組んで歩いてくれなかったのに」
それでも私の嫌味は止まらない。
「おやおや、随分と仲が良いようだね」
ルキア伯爵が私達の間に割って入ってきた。
文昭より高身長の金髪イケメンだ。
伯爵だからサラリーマンだった文昭より高収入だし。
王立学園の首席だったから文昭より高学歴ね。
「2人とも、せっかくの食事が冷めてしまうよ」
ルキア伯爵はそうやって笑いながら私達を宥めた。
「勇者フミアキ様、この度は誠にありがとうございました。他の貴族共もご挨拶に伺いたいとのことなので、私はこれにて失礼致します」
ルキア伯爵は丁寧に挨拶をした。
「じゃあ、私もこれで失礼致しますわ」
そう言い残した私は、ルキア伯爵⋯⋯今の夫と手を繋ぎ、その場をあとにした。
ハーレム反対!ハーレム反対!ハーレム反対!