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3話
「う~ん」
電車が駅に停車した。
後者を促す柔らかな音色のアナウンスが流れる。
読み上げられた駅の名前は、僕の知る駅じゃない。
寝過ごしたんだ。
さっきまでのことは「ただの夢?」
僕は、妙に濡れた感じがする自分の服の袖を見た。うっすらと、青いインクが付いている。慌てて落とそうとしたかのような、淡い色合いだ。
僕は青いインクのペンを持っていない。さっきのことは、本当にあったのか?
服装は、元に戻っていた。僕は、これ以上目的地から離れないように、慌てて列車を下りた。
駅の地図を見ると、すでに、だいぶ遠くまできている。
「いつの間に、旅してたんだ」
僕は、そう呟いて、星が瞬く空を見上げた。
公衆電話探すか。