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すみません、あらすじのような回です。
フェリクス様がシェアハウスに仲間入りして数日、変わった事がある。
なんと!クラウス君もフードを取るようになったのだ!
美しすぎるメンズに囲まれて、一瞬逆ハーか!!と混乱したけど、クラウス君とフェリクス様に恋愛感情はないし、エネちゃんもいる。冷静になれ私。
それにしてもタイプの違う美形だわぁ……。
ラーシュ君の、ファンタジーな紫色の瞳は宝石のようで、パッと見私の大好物“冷たい美形”になる。
だけどまとっている雰囲気や表情や声から、優しく温かい人とわかる。実際そうだしね。
中身込みの冷たい美形は、二次元だからいいのよ☆
クラウス君は衝撃の「腹が減りすぎていて」と言った、ガリガリに痩せていた時でも印象的だった鮮やかな緑色の瞳が、少しだけ健康になってきた今では萌え出ずる新緑のよう。爽やか元気系とでもいおうか。
何にしても健康になってきてくれて嬉しい!
二人とも魔力が高い人の特徴である銀色の髪をしている。
髪が長いのはラーシュ君たちの事情のせいだ。街の理容店を利用する事ができず、髪を切ってくれる家族もなく、ずっと自分で切っていたんだけど、誰に見せる訳でもなし。つまるところ面倒になったという事らしい。
魔力が高い人だけど例外はあるようで、フェリクス様は輝くような金髪だ。ついでに瞳も金色!まさにファンタジー!金色の瞳は回復魔法使いの特徴だと聞いたけど、貴重な魔法使いと相まって神秘的!
お顔立ちも正統派王子様!なんか全身が輝いているような神々しい系!!
そしてエネちゃんだけど、エネちゃんも私と二人だけの時はフードをとってくれるようになった!これがまたハリウッド女優も真っ青な超絶美人さん!!
髪はラーシュ君たちと同じ銀色だけど、瞳は少し変わっていて、ラピスラズリのような濃紺に小さく金色が散らばっている。奇跡のような美しさだよ!
ちなみに使う魔法は、氷系と少しの回復だって。少しでも回復は貴重だね!
フェリクス様は大丈夫だけど、ラーシュ君たち三人は可哀想なくらい痩せている。少しは肉がついてきたラーシュ君でさえまだまだだ。
もっとみんなにたくさん食べさせて健康的な体にしてあげたい!
という訳で、栄養があって高カロリーなご飯が、うちの基本メニューになっている。
今夜は唐揚げを大量に作った。
高カロリー=揚げ物とはいかにも単純な発想だけど、いいじゃないか!唐揚げは美味しい♪
それから野菜サラダも大きなサラダボウルに山盛り三つ作ってある。野菜もちゃんと食べるんですよ!と、気分はすっかりお母さんだ♪
夕食時の主食はほとんどご飯。それから具だくさんのお味噌汁。
こっちの世界の主食のパンは、朝食の時にご飯と半々くらいで食卓にあがる。パンの時の汁物は洋風にスープね。
お昼は誰に見られても浮かないようにパンにしている。
日本のパン屋さんありがとう!日々あのラインナップを思い出しながら、美味しいお弁当を作ってます♪
今は暑い季節だから保冷ポットで冷たいお茶を持っていってるけど、寒くなってきたらスープポットで温かいスープなんかもいいかも♪
なんて、異世界なのに食生活が充実しているのはスマホ様のおかげだ♪
食品以外も色々お世話になってるよ!
ホラー映画に出てきそうな時代がかったゴージャスな洋館は、怖くないよう壁紙の張り替えをした事を皮切りに、もっと住みやすく、もっと便利にと色々改装を重ねている。
私の部屋なんて、この春から始めた一人暮らしのアパートの部屋とあまり変わりがないようになってきてるし。
いや、変わるか。この一部屋だけであのワンルーム全部が入る広さだもんね。
何はともあれ、スマホ様にはあっちの物もこっちの物も売っているから、とっても便利!
これってもの凄いチートだよね♪
さて、住む人数が増えたし、きちんと家事分担を決めた方がいいだろうと、フェリクス様が引っ越ししてきた夜にみんなで話し合いをした。
「じゃあ、当番はそんな感じで。組み合わせは月一で替えるって事で」
「「はい」」
掃除や洗濯は基本クリーンの魔法だ。邸が広いから魔法でお掃除は助かるね♪これは私以外の四人にやってもらう。みんなありがとう!
私はこっちの世界仕様の掃除機と洗濯機を使う。
私は魔法が使えないから掃除機をかけるのよ。自分の部屋を自分で掃除するのは当たり前です。
洗濯もしかり。それにやっぱ、洗濯物は水洗いして天日干しが気持ちいいよね♪
朝と夜の食事の支度と後片付けは、それぞれ二人一組でやる事になった。朝番と夜番、みたいな。
ラーシュ君たちは、なるべく他の人たちが少ない時間に出勤退勤してるから、朝は遅く夕方は早い帰りになる。食事の支度も後片付けも余裕なのよ。
私は朝晩どっちの支度も一緒にする。ほら、スマホ様から食料の調達とかあるからね。
その代わり後片付けは免除になった。別にいいのに。
他人同士が一緒に暮らすんだから、誰かだけガマンをしたり不公平なんかがないように、なるべくみんなが快適に生活できるようルールを決めるのは大事だよね!
私はシェアハウスに住んだ事はないし、寮生活も経験がないので、今のこの生活がシェアハウスの正しい暮らし方なのかわからない。
だけどいっぺんに作って、みんな一緒のご飯を食べる事が食費の節約になるとはわかる。
ラーシュ君たちは、同じ仕事をしても一緒に働いた人たちの半分しか依頼料をもらえない。
なんだそれ!誰よりもこき使われて、得られる賃金が半分とか!
めちゃくちゃ腹が立つけど、それがこの世界では当たり前の常識だ。本人たちもそう刷り込まされているから余計に腹が立つ!
という訳で、月々いただく生活費は定額にしてある。
いや、それは後付けか。
この世界の平均的な光熱費?やら食費やら、諸々がわからなかったので(ラーシュ君たちも知らなかった)ラーシュ君の常宿の宿代を参考にしたんだった。
ラーシュ君たちのような人用の、たぶんお安めな設定と思われる宿代と。
(フェリクス様は違うけど)ラーシュ君たちは孤独に生きてきた。家族とか友達なんていう、絆や温かさなんてものを知らずに生きてきた。
それがこうやって一緒に暮らす事になったんだから、おしゃべりなんかしながらの(今のところ私ばっかりしゃべっているけど)食事は楽しいって事を知ってもらいたい。
それ以外にも、気持ちのいいお布団で安心して眠ってほしい。ここにはラーシュ君たちを迫害するヤツはいないから安心して暮らしてほしい。安心って大事だよね!
しっかり食べてしっかり眠れば元気になれると思うんだ。
そうして、だんだんでいいから心も元気になってほしい。
ラーシュ君たちが生まれた時からずっと刷り込まされてきた“当たり前”を変える事は、すぐにはムリかもしれないけど、普通の人が普通に得られる普通の生活を送らせてあげたい。そしてそれを当然と思えるくらいになってもらいたい。
たくさん楽しい気持ちや嬉しい気持ちなんてものも知っていってほしい。
私は日本に、元の暮らしに戻りたいけど、ラーシュ君たちが元気になった姿を見たいとも思っている。
この世界の常識的には厳しいけど、それでも(周りにはわからないように)幸せになってほしいと思っている。
困った事に、そういうのを見届けたいと思うようになってきてるんだな……。
読んでくださって、待ってくださって、ありがとうございます。
難産です><
創作物などの完成に時間がかかる場合を、出産に例える事がありますが、まさにソレ!
今回はこのお知らせのため間話を上げました。
難産ですが、ラストシーンは決まっていますので完結はお約束します!
よろしかったらハッピーエンドまでお付き合いくださいませm(_ _)m




