表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/93

12




異世界にきて4日目の朝。

今日は壁紙の張り替え工事をしてもらう。昨日発注して、翌日にもう着工。異世界は仕事が早いな!


工事中は外に出ていなければならない。ジャマだからか、危ないからか?

金銭のやり取りはギルドの口座引き落としなので、業者さんに会わなくてもいいそうだ。

よくわからないあっちとこっちのやり取りは、シークレットなのかもしれない。


そしてすべてがファンタジーな異世界仕様。

そこそこの大きさがあると思うのに、いえ中の張り替え工事は一日で終わるんだって!すごいな!


という訳で(元々予定していたけど)朝一で図書館に行く事にする。

日本に帰る方法を探す第一歩だ。


図書館に、私のような異世界転移してきた人の記録みたいなものがあればいいんだけど……。

なかったら他で探さなくてはならない。


この古都にある図書館は、この国で一番の蔵書を誇ると聞いている。きっと一日では見きれないだろう。

いや、何日もかかる……、いやいや規模によってはもっとかかるかも。

とりあえず図書館通いスタートだ。


とはいっても、私は図書館の場所がわからないのでラーシュ君に送ってもらう。

後をついて行くのでも送ってもらうというのかな?素朴な疑問だ。でもまぁ連れて行ってもらう事には変わらないよね。


いやそんな事より、送ってくれる分ラーシュ君が冒険者ギルドに行くのが遅くなっちゃうのが申し訳ない。

面倒をかけないよう早く道を覚えよう!

それに帰りの事もある。

私は目印になりそうなものを憶えながら、ラーシュ君の後をついて歩いた。


歩き出して20分ほど、図書館についた。

ラーシュ君はいつも通り建物の前で一瞬足を止めて、そのまま行き過ぎる。


「送ってくれてありがとう。ラーシュ君も気をつけていってらっしゃい」


私は早足で追いついて、しっかりラーシュ君にお礼を言う。

離れて歩くのは、ラーシュ君が望むからだ。

私には承知できない理由でも、ラーシュ君のためだとガマンしている。

だけどお礼はちゃんと言いたい。


ラーシュ君はわかるくらいに頷いて、離れて行った。

おぉ!他の人から見たらわかりにくいかもしれないけど、私にはちゃんとわかったよ!

私と他人のふりを徹底しているラーシュ君が、ほんの一瞬だけど私にわかるように返事をくれたんだ。

私は嬉しくなって、見えなくなるまでラーシュ君を見送った。


ラーシュ君、冒険者の仕事がんばれ!

ちょっと心細いけど、私もがんばる!


よし!

気合を入れて、私は大きな建物に入った。




中に入ると、図書館の、あの独特な空気に包まれる。

古い紙の匂い。少し埃くさいような。外とは違う、時間の流れ。


それから……。


見渡す限りの本の壁。呆然としてしまった。

ウソでしょ?これでまだ二階も三階もあるんだよね?

どこからどうやって調べればいいの?


入ったところで私が立ち尽くしていると


「おはようございます。何をお探しですか?お手伝いしますよ」


にこやかに話しかけてきてくれた人がいた。

ややブサさん(失礼!)という事は、こっちの世界ではやや美人さんだ。図書館の人かな?


「おはようございます。こちらの図書館は初めてなんです。利用の仕方とか色々教えてください」


司書さんは親切に教えてくれた。

誰でも閲覧できる事。(内心、ラーシュ君たちはダメなんだから誰でもというなと思う)貸し出しはしていない事。利用者には学生や研究者が多く、一日中いる人も多いので庭に休憩や食事ができるスペースがある事。(館内は飲食禁止)


それから、過去に別の世界から来た人がいたか、いたならその人に関する記録みたいなものがあるか聞いてみた。

聞いといてナンだけど、それがあって驚いたよ!

さっそくそこまで連れて行ってもらう。


二階の奥の方の棚には、多くはないけど界渡りの人の記録があった。

ひとつの棚だけで収まってしまうくらい。100冊はないと思う。

異世界人の記録にしては少なくない?わからないけど。


気を取り直して。

少ないといってもどれに何が書いてあるかわからない。全部読まなければ。

とりあえず左から順に読んでいこうか。左上の一冊を持って閲覧コーナーに行く。


私は読書は好きなんだけど読むのは遅い。一冊読んだところで目がショボショボしてきた。

お腹もすいたので休憩にしよう。本を返して、階段を下りて庭に向かう。


外に出ると風が気持ちいい。

木々や草花なんか緑も多くて、疲れた目を癒すよぉ!

思い切り深呼吸をして、空いているテーブル席についた。


周りを見渡すと、テーブル席は半分くらいうまっている。

スマホを見ると12:05の表示。ちょうどお昼じゃん。

さっそくお弁当を食べようか。

ラーシュ君にも、ちゃんと(一緒に)作って渡してある♪


まだシェアハウスに住みだしたばかりだけど、ラーシュ君は何かと家事を一緒にしてくれる。

掃除も(ほぼ清浄魔法)洗濯も(ほぼ清浄魔法)炊事も。

ラーシュ君は魔法の労働力を提供してくれているので、その分私は食費を担おうと思う。


朝ご飯がトーストだったから、お弁当はサンドイッチにしてみた。

レタスと、グリルチキンにハニーマスタードソースがけ。お洒落にいってみたけど、挟んだものは昨日の残り物だ。

それとイチゴジャムとバターの甘い系。(くぅぅ、カロリーがぁ!)


ラーシュ君も今頃食べてるかな~?なんて思いながら、私も同じものを食べる。

ラーシュ君、昨日の夜はグリルチキンを美味しそうに食べていた。昨日の夜はバーべキューソースだったけどね。


イチゴジャムとバターの甘い方は驚いているかもしれない。でも甘いものは好きみたいだし大丈夫でしょ♪

大丈夫を越して喜んでいるかもしれない。想像してニヤニヤしてしまう。


後々知るんだけど、ラーシュ君たちはあまり物を売ってもらえないから、甘いものなんてほとんど食べた事がなかったんだって。

だから甘いものはとてつもなく喜んで美味しがるのだ。


まったくもう!

甘いものなんていくらでも食べさせてあげるよ!




お昼ご飯を食べたら、午後もまた記録を読む。

一冊読み終わる頃には薄暗くなってきた。

眼精疲労がハンパない。異世界の文字は読めるんだけど、脳が理解するのに時間がかかるみたいだ。

続きはまた明日にしよう。そしてこんなに疲れたのに今日の収穫はなし。


司書さんに挨拶をして図書館の外に出る。

すっかり暗くならないうちに帰らねば。まだいまいち道を覚えてないから帰れなくなっちゃうかもしれない。


外に出ると、スッと近寄ってくる人影。


「あれ……? ラーシュ君、迎えに来てくれたの?」

「はい。サ、クラコさんは、まだ道に慣れていないかと思って……。すみません」

「なんで謝るのよ。確かにちょっとあやしかったんだよね。助かったわ、ありがとう!」


夕方の、人々がせわしなくなる時間。ラーシュ君は道の端をひっそりと進む。

私は見失わないように、うっすい存在から目を離さずついていく。

そんな風に歩いて邸に帰りついて、思い出した!


壁紙の張り替え!終わってるかな?

すっかり忘れてたよ。

どんな感じになっているか楽しみだ♪


玄関のドアを開けると


「わぁ~!」


玄関ホールから見える範囲全部が、真新しい白い壁になっていた。


「ラーシュ君、邸中の灯りをつけて見てみようよ!」

「はい」


ちょっとはしゃぎ過ぎ?でも、あの高級ホラーな雰囲気がなくなっているんだもん嬉しい!

あと単純に新しいって、なんかワクワクする。


二人で灯りをつけて回り、壁を眺める。


「わ~!いい感じ!ラーシュ君どう思う?」

「いいと、思います」


業者さんグッジョブ☆

ありがとうございました!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ