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異世界3日目、新居での初めての朝。
今日もいいお天気だ。窓から入る朝の光が気持ちいい♪
スマホの時間を見ると6:33の表示。
いつもの時間に起きるとは。体内時計はしっかり働いているらしい。
さて、今日は何をしよう。
着替えて、顔を洗いに一階に下りる。
ちょっとめんどいけど、実家も二階には洗面台はなかった。
とはいえ一階の洗面所を使うのは実家と同じでも、家の広さが違う。
二階にも洗面コーナーがあった方が便利だな。
浴室の洗面コーナーで顔を洗って、キッチンに行く。
大きい。キッチンというよりレストランとかの厨房といった感じだな。
それでは朝ご飯を作ろうか。私は朝からしっかり食べる派だ。
昨日買って来た野菜でサラダを作る。野菜と果物なら買ってもいいかなと思えるくらいの品質だった。
お肉とかお魚とか乳製品なんかは、ちょっと様子を見ようと思う。
という事でスマホ様の登場だ♪
パンとハムと卵、それからバターとかヨーグルトなんか。
あ、サラダにかけるドレッシングと、野菜ジュースもお買い上げ。それとハチミツも!
おっと!基本の塩コショウもないじゃないか!
なんてポチポチやっていると、うっすい存在感がやってきた。
「ラーシュ君おはよう!これから朝ご飯だけど一緒に食べる?」
「おはよう、ございます。 ありがとうございます、 ……いいんですか?」
「何のお礼よ。じゃあ一緒に作ってくれる? 私ここの火の扱いがわからなくて。教えてくれると助かる」
「はい!」
ガスコンロでもIHコンロでもない、薪を使うかまどなんだもん。
「ラーシュ君はハムエッグを作ってね。私はパンをトースト…… あぁ!トースターがないじゃないか!」
私はバターがジュワッと溶けた厚切りトーストが大好きなのだ。
それにハチミツをかけたものが一番好きだけど、カロリーを考えて週に一度のご馳走にしている。
フライパンで焼くのかな……。やった事ないよ。
「サ、クラコさん、どうしたんですか?」
「うん、パンをトーストしようと思ったんだけど、トースターがなくてどうしようかと……」
「パンの表面を軽く焼けばいいんですか?」
「うん、薄くきつね色くらいにね。できる?」
「やってみます」
と言ったラーシュ君は、さすが火の魔法使い!
ハムエッグもトーストもそつなく上手に作っていたよ。
超絶美形で心も綺麗でその上料理も上手とか!これはモテるよ!あっちの世界じゃないのが残念だ。
出来上がったご飯は、熱々を食べたいのでキッチンの中の調理台で食べる事にする。
離れた食堂まで運ぶのはもったいない。冷めちゃうからね。
「ラーシュ君、昨日の夕ご飯を食べた時フードを外したじゃない?食べやすかった?」
「……そうですね、はい」
「それなら、これから食べる時はフードをとっちゃえば?ここには私しかいないし。もしラーシュ君がよかったらだけど」
「……はい」
ラーシュ君はおずおずとフードを外した。
まぁ、顔は背けているけどね。
私はさりげに横顔を見る。朝から超絶美形。テンション上がるわぁ!
……私も慣れる必要があるな。
気持ちを落ち着けて!朝ご飯を食べよう♪
今日は新居での初めての朝食なので、記念にハニーバタートーストにしてみました!(休日バージョンです!)
溶けたバターでツヤツヤしているパンの上にハチミツをとろ~りかけて、ラーシュ君の前にそれを置く。
「さあ、召し上がれ!」
焼いたのはラーシュ君だけどね。ハムエッグもラーシュ君が焼いてくれたし。
私が作ったサラダと、ヨーグルトと野菜ジュースも置いて、横並びに座っていただきます♪
「……美味い」
「でしょ~?お代わりあるよ!たくさん食べて!」
せっかく食べるならカロリーは気にしない!
したたるハチミツが輝いてるよ!
私が笑顔になって言うと、ラーシュ君からは困惑の声が聞こえた。
「こんなに美味しいものを、私が食べていいのでしょうか……」
「何言ってんの、いいに決まってるでしょ!それにそれ、ラーシュ君が焼いてくれたんだし。バカな事いってないで、他のものも熱いうちに食べよう♪」
「……はい」
カリカリのハムと半熟玉子のハムエッグはすごく美味しかった。
半分火を通すといっても、異世界産の卵を使うのはちょっと怖い。ここは日本産で調理した。
安心も美味しさのひとつだと思う。
「ラーシュ君、パンの焼き加減もハムエッグもすっごく美味しいよ!めっちゃ好み!ラーシュ君お料理上手だね!」
私が褒めると、ラーシュ君の手が止まった。
あら、どうした?
横目でこっそり窺うと顔が赤くなっている。
照れてるだけか。
私は安心して食事を再開した。
ラーシュ君は今までが今までなので、褒められ慣れてないのだろう。これからは、いいところをたくさん褒めていこうと思う。私は褒めて育てるタイプなのだ♪
ロボのように食事を再開したラーシュ君だったけど、食べ進めていくうちにスムーズに動くようになった。
美味しいもんね♪
新居生活初めての朝、私たちは美味しい朝ご飯をたっぷり堪能した。
ご馳走になったのだからと(作ったのはほぼラーシュ君だけど)ラーシュ君が後片付けをしてくれている横で、私はスマホを見ている。
こっちの世界で生活を便利にしてくれるものが何かないかな~、なんてね。
「う~ん…」
支払いがギルドの口座から引き落とし、なんて異世界仕様になってるんだから、物だけじゃなくて工事みたいなのも注文できないかな~。
この邸、小さくてもお金のかかったいい物件らしいんだけど、ちょっと怖いんだよね。
時代がかったゴージャス感は、ホラー映画を思い出させる。
カーテンも、とてもいい物なんでしょうけど、この重厚な感じが文字通り重苦しい。
ダメ元で壁紙張り替え工事的なものを検索する。
「あった!」
まぁ、あるはあるよね。それが異世界で工事ができるかって話で。
とりあえず発注のページを進めていく。
邸全体を温かみのある白い壁紙にしてみようか。あ、
「ラーシュ君、できたらこの家の壁紙を変えたいと思ってるんだけど、ラーシュ君の部屋の壁紙、何色がいいとか希望ある?」
「え…」
ラーシュ君は洗い物の手を止めた。
「工事ができるかわからないけど、希望があれば聞いておくよ。ちなみに邸全体は温かみのある白がいいと思ってるけど、ラーシュ君どう思う?」
ラーシュ君はおずおずとこっちを向いて、何度か口を開けたり閉じたりした。
私は急かさず待つ。
ちょっとわかってきたぞ。
ラーシュ君は、“何かをして”と頼むと返事が早い事、何かを“選んで”もらおうとするとなかなか返事が出来ない事。
「……私なんかが、希望や意見を言っても、いいのですか?」
「いいよ?だから聞いてるんだし。で、どう思う?」
ラーシュ君は上を向いて黙っている。
想像してるのかな?
食事が終わってフードをかぶっちゃっているから顔は見えないけど、上を向いたので綺麗なあごが見えている。鑑賞鑑賞♪♪
「……温かい白、いいと思います」
「よかった。じゃあ決まりね!それと、ラーシュ君の部屋だけど、壁紙の色に希望ある?」
「いえ、ありません。温かい白がいいです」
今度は考えずに答えがきた。
「そう、わかった。私も自室は同じ白にしようと思ってたんだ」
ではそれでと、支払い画面に進む。
いけるかな~?
支払い画面には、しっかりギルド口座からの引き落としがあった!
やった!どうやるのかわからないけど、壁紙の張り替え工事はできそうだ。
その後、メールで業者さんとのやり取りをして今日発注、明日着工となった。早いな!




