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短編 いつもの学校では無くなる時

皆が帰った学校は、ただの学校じゃなくなる。

なので皆は絶対に19時以降の学校には来ないように。

そう学園長が皆に言っていた気がする。

「なあ、一回19時以降の学校探検してみようぜ!」

亜紀戸(あきと)君がそう言う。

「気になるよね!学校じゃ無くなるって」

このメンバーで唯一の女子、(かえで)が便乗して言う。

「というわけでお前はどう思う?」

話を振られた、霧八(きりは)です。

「確かに僕も気になるから賛成。でもどうする?学校を不法侵入するのは気が引けるのだけど」

「それには、策がある。この学校を囲っている柵に穴が空いているのを見かけた事がある」

「なるほどね!それならバレずに忍び込めるかもね♪」

「じゃあ何時に集合する?集合場所は?」

「学長先生が言っていた、19時位で、集合場所はこの学校の例の穴で」


「「了解」」

((その場所わからないんだけどなぁー))


学校が終わった後一度僕たちはお家に帰った。

そして約束の時間まで10分の所で僕はこっそり家から出た。



学校に着く。

明るい時に見る学校と暗いときに見る学校は完全に別物だと思ってしまい

不気味さをも感じさせる。

早速例の集合場所を探す。

学校を一周してみる。

すると正門辺りの柵に、僕たち小学5年生がちょうど通れる穴が空いているを見つける。

(よく塞がらないものだな)

なんて思っていると

「お待たせ~♪」

「待たせたな」

何故二人できているんだという目線を送ってやると

「偶然亜紀戸君と出会って、それで来ちゃった」

「僕は少し探したんだけどね」

「いや本当に悪かったよ。帰ってから、この場所詳しく教えてないわと気がついたんだ」

「そうか、それなら仕方が無いな」

和解もしたので

「よし、入ろう」

「緊張する」

そう言ってぞろぞろと入って行く二人。

僕も後を追って、柵をくぐり抜けた。


「・・・・さあ来たな」

「今になってきて心配になってきた」

「・・・・・」

ざっざっざっ

「ねえ、音が聞こえない?」

ざっざっざっ!

音が近づいてくる。

「誰か来たな。・・・・あっこことかどうだろうか?」

近くの茂みを指さす。

「良き」

大きな茂みの後ろに隠れる。

ひょこと横から顔を出し、様子を伺う。

ざっざっざっと歩いてきたのは、顔が険しいスーツを着た若い女性が、分厚い本を持ちながら歩いている。

「あっ!先生!こんにちは!」

明るく元気な女子生徒らしき人が、先生と呼ばれた人に挨拶をした。

(あんな先生いたっけ?)

なんて思いながら様子を見る。

「こんにちは。双葉(ふたば)さん。貴方も今から教室に行くのですか?」

「いえ、職員室に呼ばれているので先にそっちへ」

「そうですか・・・ではまた教室で」

「はい」

先生と呼ばれた人は、正面玄関から中に入り、双葉と呼ばれた人は左側にまっすぐ進んでいった。

「ねえ、あんな生徒いたっけ?」

「俺らより一こ年上感があるよな」

「確かに・・・。そんなことは置いといてはやく進もうよ」

「わかった。でもどこから侵入する?」

「やはり正面玄関から堂々と」

「ははー、霧八も中々大胆だな。まあ俺も賛成」

「私は賛成じゃないけど・・・まあいっか」

スタスタと正面玄関に近づき、扉に触れ力いっぱい奥に押した。

キィとドアが開き、いつも馴染み深い風が吹く。


「とりあえず俺たちの教室、5-Aに行くぞ」

「うん」「OK」

(5-Aは三階にあるから・・・中々遠いな。見つからないと良いんだけど)

僕たちは近くにある階段を上り始めた。

馴染みある階段の筈が、暗さのせいで別物として視界に映り

何処か心の底から安心できない。

こうして二階にたどり着き、次の階段がある場所へと向かう。

「なんでここ上がったら、上り階段がないんだろうな」

「きっと混雑防止なんだよ。ほらスーパーとかでよくあるじゃない」

「そんな大きな声で話したらバレる・・・・あ」

右と左の分岐点の所で、出くわしてしまった。

「見ねぇ顔だな。新入りか?」

そう冷たい声で、あきらかに年上で、

いやどっからどうみてもヤンキーだ。

チラリと二人の事を見ると、

わなわなと声にならない程驚いている。

「答えないと、この袋に詰めるぞ?」

サンタさんが持つ袋みたいに、大きな大きな人が一人入れそうな袋を見せてくる。

「「「すいませんでした!!」」」

僕たちはあいつを振り、無理矢理突破し右側の廊下を走り抜けた。

「つまんねぇ奴」



「はあ、はあ、はあ。なんなんだよあいつ!」

次の上り階段の前。

当初上ろうとしてた階段では無いが、まあ上に上れるなら何でも良いだろう。

「あの人に逆らったら殺されそうな気配だしてやがったよな」

「あんな不良いたんだ。僕知らなかった」

「俺だって初耳だよ」

「ねえ・・・・・・私お手洗いに行きたいかな」


「ああ、ごめん。行っておいで。僕たちここで待ってるから」

彼女はコクリと頷いて、女子トイレがある場所へと向かった。


「なあさっきから、視線を感じないか?」

「やっぱり霧八もそう思うか・・・じゃあ気のせいじゃないだろう」

辺りを注意深く見渡す。

「監視カメラとかかな?」

「それにしては、強い。まるで本当に見られているんじゃないかって思うほど」

「そうかな・・・・というか楓帰り遅くないか?」

「んー確かに・・・」

腕時計の針がさっきの時刻から、15分後の位置にいる。


少し急ぎ足で向かって、もうすぐ着くと思った瞬間

謎の男女二人組に攫われそうになっている楓の姿が見えた。

「おい!何してんだよ!」

思わず声を出してしまう。今は忍び込んでいるのがバレる事なんて考えていない!。

「ああ、あいつらが視矢(しや)が言ってた新入りの仲間か?」

眼帯の男がそう聞く。

「厳密に言えば、朝の部の奴らだ」

視矢と言われた女性は、全てお見通しの様に説明した。

「ちょうど良い、あいつらも攫ってしまおう」

「じゃあ俺がちゃちゃっと攫うから視矢はそいつをよろしく」

「任せときな」

強く手を引いて楓を無理矢理連れて行ってしまった。

「ちょっと待て!」

「お前達の相手はこの俺様。喜べよ」

づかづかと力強く歩み近づいてくる。

「・・・・くっ、どうしよう」

「僕一人であいつを引きつける。だから亜紀戸君は・・・楓を助けてあげて」

「でも・・・」

「良いから!でも約束、皆揃って家に帰ろう」

「ああ」

(・・・フラグなんだよな。でも俺はそんなフラグ全て折ってやる!)

俺は全速力で走った。

「逃がさねぇ・・・うお!」

僕は亜紀戸を逃がすため、力強く突進した。

相手は少しだけしか、よろつかず力の差を感じさせる。

僕はすぐに距離を取ろうとした

ガシリ

(あ・・・終わった)

右手を掴まれる。

「よくもまあ、やってくれたな」

「離せよ!!」

「お前の方から仕掛けてきたんだろ?お友達逃がしてやるなんて、優しいねぇ。裏切られないと良いなぁ!」

その大きな腕と拳がスピードを出して、僕に近づいてくる。

僕は怖くてぐっと目を瞑った。


・・・・・。

しばらくしても痛みがこない。

不思議に思いながら恐る恐る目を開けると、

最初の正面玄関で先生と話していた女子生徒が

あいつの腕を掴んで上から見下している。

「暴力は関心しませんねー。ルイ君」

「・・・・双葉?いや違うな。さっきまで近くにいなかった奴が一瞬で来れる筈が無い。そうだろ?木葉(このは)

木葉と呼ばれる人物は、正面玄関で見かけた双葉といわれる人物と瓜二つだ。

力強く掴まれていた手は解放され、距離を取り二人の事を見た。


「あいつからのご命令を受けてね。なんとなく来てみたら、暴力振りかけていた人がいたんだもの。これは止めなきゃだよね」

じろりと僕方へ視線が向く。

「君は朝の部の方だろ?夜の部は危険だって教わらなかったのか?」

スッと目をそらして、小さく

「すみません」

と謝った。

「まあ良いや」

彼女が掴んでいた腕を放し

「この子は見逃して欲しい」

「せっかくの獲物だ。そう易々と見逃すわけにはいかねえ」

あいつは殴り合う体制を取る。

「やっぱそうなるか!!」

彼女も喧嘩の体制になる。

(止めたいけど止められない!)

どうしようどうしよう。

それだけが頭の中ぐるぐると繰り返す。

「私と逃げましょう」

コツコツと階段から少し降りて手招きしている女の人。

その姿を見て僕はさっきの喧嘩腰の女の人とで何度も見直した。

(一緒だ!)

「ここじゃあ巻き込まれるから、場所、移しましょう」

「はい・・・!」

ここから早く離れたいが為に階段を素早く上った。

「おい!待て!」

「おいコラ、相手は僕だと言ったろう」


なんとなく怖いからそんなやり取りを耳に入れないようにした。


コツコツ

僕たちのクラスがある階に来た。

「あらためて、君は?朝の部の方だろう?何故夜の部に来た?忘れ物かい」

「僕は霧八。ごめんなさい。ただ気になっただけ」

「そっか。次からは来ないでよ」

「はい・・・・。ねえお姉さん僕本当はもう二人友達がいるんだ」

「・・・迷子?な訳ないよね?」

「うん、知らない男の人と女の人に攫われちゃった」

「そんなシュンとしないで。大丈夫、貴方があいつに襲われている時点で嫌な予感はしてたから。別に驚かない。むしろ早く助けにいかないとね」

「ありがとうお姉さん」

「良いってことよ!じゃあ霧八君はまず職員室でかくまって貰いなさいな。自分で行ける?」

「でも・・・お姉さんだけじゃあ」

「心配してくれるのは嬉しいけど。大丈夫ここの部に何年いると思っているのよ?6年よ」

彼女は笑った。

(やっぱり年上だったんだ・・・・)

「じゃあお言葉に甘えて、二人をお願いします」

「任せときなさい。じゃあ行ってくる」

そう言って彼女はコツコツと歩いて行った。

僕は職員室へ向かう。

コツコツコツコツ

(皆大丈夫かな)

コツコツ

「よお!さっきぶりだな。てか二人欠けてねえか?」

言葉を無くしてしまった、一難去ってまた一難とはこういう事だ。

「そう怯えんなよ。でどうしたんだよ?」

(もしかしてそんな悪い人じゃない?)

「実は・・・」


「なるほどなーうけるわ。まあ一応俺からも探しといてやるよ。そんで袋に詰めて持って帰ってやる」

何を?とは聞けなかった。

「じゃあな。あいつらが心配ならお前も探した方が良いぜ。この学校の生徒は信用できないからな。龍路(りゅうじ)様からの忠告だぜ」

ばいばいと手を振って去って行った。

僕の心が揺らぐ。

(双葉さん?ていう人は信じられる。でも・・・あの人が言う事、何故かわからないけど信憑性がある)

拳を強く握り、全速力で走った。


ガラリ

「ここだよね。分かってるよ視矢」

扉を開けるとそこには、例の子供が二人捕まっていた。

一人の男は手足は縛られ、口も塞がれで身動きがとれない助けも呼べない状態であった。

そしてもう一人の女の方は、気絶してるし、そんで何故か貼り付けにされてるしで

よく分からない状況だった。

「やあ双葉、いらっしゃい。僕たちの反逆が今始まるところさ」

にやりと笑う。

こいつが言いたいのは、要するにこいつらを生け贄にして

こいつらが契約している魔族の目の空腹を満たして覚醒するつもりだろう。

「させないよ。今手持ちが無いけど私もそれなりに強いから」

「へえ、そう。木葉がいないとダメかと思ったけど、ね!!」

視矢は自分の周りにサークルを展開させ、ぐわーと地面から無数の目玉を発生させた。

「やっぱり私一人じゃあダメだな!。能力には能力を使わないと。だから来い!木葉!!」

キラキラ

シュン

「ご命令を承りました。木葉参上でございます・・・なんてね」

スタスタとサークルの中を進んでいく。

(通常の人間が歩いたら無数の目玉からの攻撃を受けるが、いつでも実態無しありを切り替えられる木葉ならいける。)

私は木葉が視矢を相手している間に、二人を助ける為の行動に移す。


――

「くそっ!木の葉を逃がしてしまったか!」

(おそらく行く場所は・・・視矢がいる場所)

「なあ、少し遊んでくれよ。俺の持つ袋に詰めるもの探してんだ」

「龍路・・・ッ!」

――

一人の縄を解く。

そして口を塞いでいるガムテも取る。

「あ・・・ありがとうございます。助かりました」

「それなら良い。後は厄介な位置にある所だけだが・・・」

サークルにギリギリ入って無い場所、そしてその周りはサークルで囲まれている。

木葉が視矢をすり抜け、女子生徒に手を伸ばそうとした時

勢いよくドアが開く。

「あんた達何をしているの!?授業来ないで!!てかその子達を・・・殺そうとしないで!!!」

怒号と共に入ってきたのは私たちの担任の先生。

視矢はチッと舌打ちをして、渋々サークルを解き

懐からナイフを取り出し、ズバッと紐を切った。

パラパラと落ちる紐と共に、倒れる女の子を支えた。

「どうぞ、先生」

視矢は女の子を差し出す。

「ありがとう、視矢。貴方大丈夫?」

「う~ん・・・ここは?」

「ここは空き教室よ。無事で良かったわ」

バタバタ!

「はあ、はあ、あ・・・良かった二人とも無事で」

「「霧八!」」

息切れになりながらも、二人の無事の姿を見てほっとするのを感じる。


「さて、色々貴方達に言いたいこともありますが、まず言いたいのはあなたたちですよ。朝の部の生徒さん!!!」

ゴゴゴ!

と気迫に満ちている。

僕たちは小さくなり、ガミガミと怒られた。


正面玄関

「もう来ないこと、良いわね」

先生が最後の注意をすると

「「「はい」」」

と三人は答えた。

時刻は21時。

まだこの時は、気づかなかった。家に帰っても怒られるという事を。


「ねえお姉さん、あのお姉さんと双子なの?」

別れを告げる際に聞かれた質問に私は微笑みながら

「私は一人っ子。あの子とはただ一人の自分自身(友人)さ」

霧八君は納得いかなさそうな表情だけど、事実だから。

「そうですか・・・ありがとうございます。ではまた」

タッタッタと先に行った二人に追いつくように走って行った。


「さて遅くなったけど、皆さん授業の時間ですよ!」

近くには視矢、双葉・・・あれ後二人は?

「チッ、中々やるじゃねぇか」

「袋の餌に出来なかったのはとてもおしい」

正面玄関からふらふらとルイと龍路が出てきた。

「はあーまたですか。でも全員揃いましたね。では授業の時間です!」

各々が自分の教室に戻る。


19時以降は学校の気をつけろというのはこういう事。

皆揃って、変だから。


(朝の部の人ってああいうか弱い子達ばかりなのかな。一度朝の部に忍び込んでみたいな

まるで、彼らの様に)

そう私は思いました。











ー誰でもわかる簡単な登場人物紹介ー

朝の部

亜紀戸 いつも何か楽しい事を見つけ持ってくる人。ムードメーカ小5


楓 いつものメンバーの女子。なんだかんだ言ってこの三人といることを気に入っている。小5


霧八 亜紀戸とは一番仲が良い。小5


夜の部

双葉&木葉 同一人物。双葉の理想を具現化した存在が木葉。そういう能力を持っている。小6


龍路 殺人袋をいつも手にしている。その中にナニカを入れて餌を与えている。小6


視矢 能力者として平和の世界を崩そうとしているがいつも邪魔される。小6

魔族の目と契約している。ルイとはいつも一緒に行動している。


ルイ 暴力的でいつも力で解決しようとしている程の、力の使い手。小6

身体能力も高いためこいつに勝つには色々と策がいる。


先生 夜の部の生徒を仕切る人。非能力者かどうかはわからない。







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