わけがわからないよ
お久しぶりでございます
この話を読んでてくださっている大変希少な(奇特な?)貴方に心から感謝申し上げます
( v^-゜)♪
ウィル兄様かぁ、仲良さそうな呼び方ですね。
そして、お忙しいであろう国王夫妻なのに年子とはラブラブなのでしょうね。
「仲良し家族なのですね、羨ましいなぁ」
おっと、本音が口からポロっと出てしまいました。
ん?羨ましい?何で羨ましいのかな??
「羨ましいって他人事みたいに、ツィスカも『仲良し家族』だろう? 何時もお前が一番ベタベタしてくるぞ」
「ひょっとしてツィスカちゃんの前世の家族関係が『仲良し』ではなかったのかも知れないわね」
ウィル兄様は呆れ顔で、ソフィー様は心配そうなお顔で此方を見ています。
前世の家族関係が『仲良し』ではない……?
前世の家族??――思い出せません。
「前世の家族、、え……き、緊箍児がっ、、!」
思い出そうとすると緊箍児が締め付けてきます。
ギリギリと締め付けられる様な頭痛に耐えきれずに意識が飛びそうです。
「キンコジ?って何を言って……えっ、ツィスカ?どうしたっ!?」
側頭部を両手で押さえて踞る私を見てウィル兄様が慌てて駆け寄って来ます。
ソフィー様も立ち上がって私の横に来られました。
「ツィスカちゃん無理に思い出そうとしないで。 きっと前世の家族の記憶が定心真言なのよ」
ソフィー様は優しく私の背中を撫でながら仰います。
「ゆっくり呼吸して。 前世の記憶は無理に思い出そうとしなくても、気持ちの整理が着いたら自然に思い出せる筈よ」
ソフィー様がハンナさんに何か指示をされて、間もなく新しく淹れ直されたお茶が私の目の前に置かれました。
「ラベンダーのハーブティーよ。 リラックス効果があるからお飲みなさい」
ティーカップを手に取って口元に運ぶとフワッととても良い香りが鼻を擽ります。 一口飲んで大きく息を吐くと少し気分が落ち着きました。
「ご心配おかけしました。 前世の記憶、何故か自分の名前と家族に関する事は思い出せません」
私がそう言うと哀しそうなお顔でソフィー様は頷かれました。
「そうなのね、貴女の心残りは“家族との関係”なのね」
んん?心残りですか?それは一体どういう意味なのでしょうか?
ウィル兄様も「わけがわからないよ」って顔でソフィー様のお話を聴いています。
「この世界は魂の傷を癒すための休憩所なのよ」
うん本当に、わけがわからないよ――…
*♪*♪*ソフィーの単語説明*♪*♪*
『緊箍児』は彼の有名な娯楽小説に出てくる、偉いお坊様のお供のお猿さんの頭の輪っかの名称よ
お猿さんの躾の為に唱えられる呪文が『定心真言』で、『緊箍児呪』とも云うらしいわね
お猿さんって云うのはルーイやカールたちの事じゃないわよ?
彼らは結婚してからはお猿さんじゃなくなりましたからね
(フェル様はアラ還なのに相変わらずですけどね)
ラベンダーの香りはリラックス効果が有りますが妊娠初期の使用は危険です
また、アロマ全般に云える事ですが喘息の切っ掛けになる事があります