May I ask your name?
タイトルが何故英語なのか?
それはワタクシがドイツ語が解らないからです
あの時、トラックの運転手の男と目が合った様な気がする。
「あー運転手さん、めちゃめちゃ焦った顔をしていたなぁ」
彼の口が『避けてくれっ』て動いていたな、でも其れは無理ってもんだ。 普通の女子高生が突っ込んで来るトラックを避けられる筈はないでしょう。
あ、私は女子高生だったんだな、名前は確か……
「ふふっ、色々と思い出している様ね? 後で聞かせてちょうだいね。 そろそろ朝食の時間なので準備を済ませて食堂に移動してね?」
独り言を呟きながら考え込んでいる私に、王妃様はそう仰ってメイドさん?に何か指示を出してから国王陛下と一緒に部屋から出て行かれました。
準備を済ませて、とは顔を洗って着替えろって事ですよね。 もしかしてドレスに着替えなくちゃいけないのかしら?
うーんTPOが判らないなぁ、朝食用の服装って何を着れば良いのかな。
「フランツィスカ殿下、お仕度いたしましょう」
そう言って部屋の奥の扉を開けて案内してくれるのは、確か一番最初に部屋に入って来られたメイドさん風の女性でしたね。
この女性が私の準備を手伝ってくれるみたいですね。 メイドさん?ううん違うなぁ、品のある感じからしてもっと身分は高そうですね。
判らない事はご本人に確認すれば良いのですよね。
「あの、貴女の事は何とお呼びすれば良いのでしょうか」
「自己紹介もせず失礼いたしました。 私はフランツィスカ殿下の専属侍女でハンナと申します」
そう言ってハンナさんは礼をしました。
ハンナさんの礼は美しい45度の姿勢で、臣下の礼でもカーテシーでもないですね。
あれ?私は何故、臣下の礼を知っているのだろうか……
「フランツィスカ殿下?如何されましたか?」
ぼけっとハンナさんを見ていたら心配そうな顔で聞かれました。 心配をかけてはいけませんね。
「今のハンナさんの礼が臣下の礼でもカーテシーでもないなぁ、って思ったのですが何故其れが判ったのかが解らなくて悩んでいました」
私の疑問にハンナさんは少し嬉しそうに微笑んで答えてくれました。
「転生者様たちは『前世』の記憶が甦る時に、一時的に現世の記憶が混乱してしまう事が多いそうです。 ですが其れは混乱されているだけで、記憶を失っている訳ではないそうです。 記憶を失っているのであれば言葉も通じない筈でございます」
そうか、日常生活に必要な基本的な事は覚えているのね。 先私が本で読んだだけのカーテシーが出来たのは身体が覚えているからなのね。
「落ち着いたら記憶は戻るという事かしら?」
「左様でございます、普通は2~3週間で殆どの方は記憶が戻られます。 一年以上戻らないという事は無いそうです」
うーん2~3週間なら良いけど一年は長いわよね。
え?『普通は』って転生者って普通にいるの?
転生者様たちって言ってたしね。
「ハンナさんは私の他にも転生者をご存知なのですか?」
私の質問にハンナさんは悪戯っぽく笑って答えました。
「私の口からは何とも申し上げられません、王妃殿下の楽しみを奪ってしまっては叱られてしまいますので」
王妃殿下の楽しみって何なのかしらね。
考えていたらハンナさんに『取り敢えずお仕度を』と奥の部屋に誘導されました。 其処はウォークインクローゼットとドレッシングルームが合わさった様な部屋で、顔を洗われた後に大きなドレッサーの前に腰掛けて驚きました。
鏡に映っているのは超絶美少女!!
王妃殿下たちが両親なのだから、何となく気が付いてはいたのですが想像以上の美少女でした。
鏡に映る美少女が自分だとは信じられずに、右手を上げたり、あっかんべーをしたりしてハンナさんに笑われてしまいました。
「大丈夫、フランツィスカ殿下は何時もと同じく美しいですよ」
あ、やっぱり鏡に映っているのは私なのですね。
お名前を伺ってもよろしいですか?ってレベルで自分の顔だとは思えませんね。
§∞§∞§∞ 名前の意味 ∞§∞§∞§
ソフィー:『賢明』
フェルディナント:『勇敢な冒険者』
フェル様はある意味冒険者なのです
フェルディナント前国王は登場させる予定はありません