Tomorrow is Another day
お久し振りの投稿です
相変わらず短いですが読んでいただけば幸いです
転移先で待ち構えていた女性は美しい礼をしてソフィー様のお声が掛かるのを待っている様子です。
「顔を上げて頂戴、連絡しておいた物は用意してあるのよね?」
「お待ち申し上げておりました。 早速お召し変えなさいますか?」
ゆっくりと頭を上げた女性の問いにソフィー様は鷹揚に頷かれました。
「そうね、直ぐに着替えたいのだけど、その前にウィルフリードとフランツィスカは初めてよね? 今後も此処を利用すると思うので紹介するわね」
ソフィー様に促されてウィル兄様と並んで一歩前に出ると、お店の主人らしい女性は私たちに向かって改めて一礼します。
「この店を任せているロスマリンよ。 今後は貴方達から直接連絡を入れても大丈夫よ」
「第一王子殿下並びに第一王女殿下にご挨拶申し上げます」
ソフィー様の紹介を受けてから女性が挨拶の言葉を述べました。 そうか、目下の者から言葉を発してはいけないのね、ホンっと貴族の作法って面倒。
と、思っていたらソフィー様がパンパンと手を打って其の場の空気を変えられました。
「まぁ作法に則って、は此処までで良しとしましょう。 此の後は一般の客と主人の体で話してね?」
その後直ぐに隣室に移動して着替えの開始、勿論ウィル兄様とは別室です。
私とソフィー様は商会の女将さんと娘(!)風、ウィル兄様は娘の婚約者設定だそうです。
「今のトレンドはミモレ丈なのよ? なのに!何故!私の衣装はロング丈なのかしらっ!?」
どうやらソフィー様はご自分の衣装が気に入らない様です。
「前国王様より『フィーが何と言おうと脹ら脛を他の男に見せるなど言語道断』ときつく言われております故。『本来であればマキシ丈だが、歩き難いだろうからロング丈で譲歩する』とも仰られていました」
「フェル様が余計な事を言ったのね! 帰ったらお仕置き案件よねっ!?」
お仕置きとは何とも不穏な台詞、ナニをなさるのか興味深いデス。
そんな事をボンヤリ考えていると、トントントン、とノックの音が三度しました。 此れはウィル兄様ですね。
因みにノック三回は親しい間柄で、格上の方のお部屋の扉は四回ノックが正解です…―って、あら? 私は何故こんな事を知っているのかしらね?
「『ノック三回は親しい間柄のみ』って前世では習っていないのですが、何故私は知っているのでしょうか?」
私の呟きにソフィー様は顔を綻ばせていらっしゃいます。
「うーん、前世と云うか日本ではノック三回が多いのだけれど、世界基準では目上の方にはノック四回が正式なのよね。 ツィスカちゃんの前世は高校生だったらしいから知らなかったのでしょうね、多分其れは『フランツィスカ』としての知識ね」
フランツィスカとしての知識が私にも有るのかぁ。
「だってツィスカちゃんの記憶が全く無いと話せないでしょう? 作業記憶はちゃんと有るわよ」
そうか、作業記憶かぁ。 其れにしてもソフィー様は嬉しそうです。
「こんな風に身体に馴染んだ記憶から思い出して
来るのよ、焦らなくても大丈夫!」
うん、ソフィー様のいう通り、焦らないでのんびりといきましょう。
「明日考えましょう、ですね!」
§∞§∞§∞ 名前の意味 ∞§∞§∞§
ロスマリン:ローズマリーのドイツ語読みで意味は『海の雫』
サブタイトルの日本語訳は有名な映画のラストシーンの訳も良いのですが、「明日考えましょう」の方が好きです