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『踊り子令嬢』と言われて追放されましたが、実は希少なギフトでした  作者: ryo-k
1章

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9/22

9.王国の『勇者』

――Sideレオン



今日は実にいい気分だ! なんたってあの忌々しい女と婚約破棄できたのだからな!

『勇者』のギフト持ちで王太子でもあるこの俺様の婚約者が、『踊り子』のギフト持ちなど屈辱以外の何物でもなかった!


元々予言で公爵家に『聖女』のギフト持ちが生まれると言われたから婚約したのに、それが『舞踊家』とかいうよくわからんギフト持ちだと。



やはり『勇者』の婚約者は『聖女』というのが常識であろう。

あの女の妹という話だが、あの女とは比べ物にならない程の美人だという話じゃないか。

ますます俺様の婚約者にふさわしい。


早速婚約を申し込むとするか。なに、この俺様が直々に婚約を申し込むんだ、拒否はしまい。



「何? 婚約できないだと?」


「はい。聖女様は生涯未婚と決まっておりますので」


「王太子で『勇者』の俺様が言っているのだぞ! わかっているのか」


「例え王太子で『勇者』である殿下であっても無理です。これは神がお決めになったことですから」


「――もういい!」


全く、教会の奴らめ調子に乗りやがって、神だなんだと言って自分たちの権力を誇示したいだけの癖に。

折角あの身体を抱けると思ったのに……クソっ。


こんな時はあそこでストレス発散するか……。




王宮の一角にある訓練所で騎士団による訓練が行われている。



「――殿下!」


今日も無駄なことに精を出しているな。

さて、どいつで楽しもうかな……。


「……あいつは誰だ?」


俺の目に一際無駄に一生懸命になっている男がいた。

今まで見たことないから、最近入団したやつなんだろう。


「……彼ですか」


「……どうした。この俺様に隠し事か? それならお前が俺様とやるか?」


「……いえ。先日教会から『剣士』のギフトを授かったので、騎士団の所属になったものです」


『剣士』ねぇ。それはまたいいギフトをもらったな。

『勇者』の俺様には劣るが。


「ふーん。どこの家のやつだ?」


「いえ……孤児院の」


そうか。孤児の平民か。貴族の子息だったら少し面倒だったがそいつは丁度いい。


「平民か。丁度いいな。あいつにしよう」


「……かしこまりました」



俺様の目の前には、団長に呼び出された男がいる。

なんて希望に満ち溢れた目をしているんだろうな……。


「王太子殿下に直接稽古をつけていただけるなんて光栄です!」


「俺様は手加減できないからな。気を抜くなよ」


「はいっ!!」


そういうと男は剣を構えて俺様に向かい合っている。

「はじめ!」と審判の騎士の合図とともに、勢いよく向かってくる。

俺様は手に持った剣でそれを弾く。


「うおおお!!」


威勢よく剣を振りかざして来る。

それを受け止めるが、さっきより剣の威力が重い。


「ふーん。それが『剣士』のギフトか」


「はいっ! どんどんいきます!」


と言うと連続で切りかかってくる。

よくもまあ一生懸命になっちゃって……。


《ギフト『勇者』――スキル『剣術』のレベルが上がりました》


レベルが上がったか。『勇者』のいい経験値になってくれたな。


それじゃあ――さようなら。


先ほどまで互角の勝負を繰り広げていた両者だが、次第にレオンの手数が増えてきて男が防戦一方になる。

とどめにレオンの一撃は男の持つ剣を真っ二つに折りながら、男を勢いよく吹き飛ばした。


レオンは男の方へと歩いていく。


「いやー。中々やるねぇ君。まぁ『勇者』の俺様には比べるまでもないがな」


そのまま男の健闘を称える――


「……流石『勇者』のギフトを授かった殿下です。ご指導ありがとうございまし」


ザシュ――


「……え」


わけもなく男の腕を手に持っていた剣で切り落とした。



「あああああああああ!!!!」


「最初に言ったよね? 手加減できないから気を抜くなよって」


そういいながらもう片方の腕も切り落とした。


「将来が楽しみだよ。ま、もう腕はないんだけどね。あっははははは!!」


腕の無い『剣士』って……笑える。


「そいつ。処分しといて」


「……かしこまりました」


ほんと。こいつらは憂さ晴らしには丁度いいな。




それにしてもあんな男程度に手こずるなんて、今日は調子が悪いな。

まあ『勇者』にもそういう時もあるか。




この時レオンは気付いていなかった。




――『勇者』のギフトの効果が、いつもより弱かったことに。

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