7.隣国――出会いと始まり
「……様……お嬢様」
「……アイラ?」
目覚めた私の目の前にはアイラの姿が。
「おはようございます。お嬢様」
「今日は早いのね?」
「いえ、お嬢様がいつもより寝ていらっしゃったので……」
「そうなの?」
と近くにあった時計を見たら、確かにもう昼近くになっている。
それにしてもアイラに起こしてもらうのなんて初めてね。
こんなにぐっすりと眠れたのなんていつ以来かしら。
「……いつも私が部屋に入ると、お嬢様が起きて公爵様のお仕事をなさってましたから」
「……そういえばそうだったわね」
お父様、最近私に殆どの仕事を押し付けて遊んでたからね。
私がいなくなって、公爵家回るのかしら?
まぁ、私には関係ないわね。
それにしても昔の夢なんて、久しぶりに見たわね。なんでかしら……。
「おはよう。よく眠れたようだね」
朝食を採りに来た私に話しかけてきたのは、リーザさん。
この国で商館や酒場を経営している商人だそうだ。
今私たちは、王国の隣国に位置している帝国に滞在している。
帝国に来た私たちだけど、当然ながら行く当てはなかった。
とりあえずこの国での身分証代わりとなる冒険者登録をしようとギルドに寄った。
リーザさんとは、その時に偶然出会った。
その日止まる宿を探していた私たちに
「うちの部屋空いてるんだけど、しばらく住む?」
と言ってくれた。
アイラは最初警戒したけど、私は彼女のことはなんとなく信頼できそうだったから、喜んで部屋を借りることにした。
……まぁ、宿代をケチれるって言うのもあるけど。
「この度はありがとうございます」
「別に気にしなくていいさ。ここで働いてるのは、君みたいな子が殆どだからね」
「そうなんですか?」
リーザさんの経営する娼館や酒場で働いている子の殆どは、親に捨てられたり、酷い子は人身売買の業者から逃げて来た子もいるそう。
だからギルドでの私たちの雰囲気をみて、同じだろうと予想して声をかけたとのこと。
「これからどうするのかは決めてるのかい?」
「……とくには何も。殆ど無一文で放り出されたので、冒険者にでもなって資金調達をしようかと」
「お嬢様! 私もお供します!」
「……アイラもこう言ってるし」
「そうかい。それじゃああたしが……」
「リーザさん!」
と慌てた様子の女性が部屋に入ってきた。
女性はリーザさんに何かを伝えていると、それを聞いたリーザさんも何かを考えていた。




