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16.王国の闇

「……っ! ここは……」


「気が付いたかい?」


空き部屋の一室で休ませていた獣人の女の子が目を覚ましたみたい。

私たちは、結局女の子を部屋で休ませて、詳しく話を聞こうと考えた。


彼女の姿があまりにもボロボロだったから。

休ませるついでに、あまりにもボロボロな姿に見てられなかったので、リーザさんの頼んで治療師に傷を治療してもらった。

だから暴れる可能性があったので、リリア様には側に控えてもらっている。


「……っ!」


「動かないでもらえるかい?」


と動こうとした女の子をリリア様が制止する。


「今ここで手を出したら、彼女たちが止めても私は君を連行しないといけなくなる」


「くっ……!」


その言葉に女の子の手が止まる。


「それで? どうして私が必要なの?」


「え……」


「いやだから、理由教えてくれれば私だって手伝うって言えるかもしれないのに」


「ほんとに……?」


むしろ何で脅迫なんて手段とったんだろう?

そこまでしないといけない事情でもあるのかな……


「人間のいうことなんてもう信じられない!」


女の子は何か人間にひどいことでもされたのだろうか。

おそらくさっきの傷が人間につけられたとかそんな感じなのかな?


「最初から話を聞く気がなかったら、あなたの傷なんて治してないって」


「え……」


と女の子は今になって自分の傷が治療されていることに気付いたみたい。

それほど慌ててたのかな……


「それで? どうする?」


「……私の……村は――」


と彼女は私のことを信じてくれたのか、ポツポツと事情を話し出してくれた。





獣人の女の子、イーリスの話を聞いた私たちは、彼女たちの暮らす集落に向かっていた。


イーリスの一族は、人族とあまり関わり合いにならない種族で、王国と帝国の境に集落をつくりひっそりと暮らしていた。

彼女はその集落の村長の娘らしい。


そんな彼女達の村で、村人が続々と病に侵される現象が発生していた。

集落にあった薬では治らなかったみたい。

彼女は村人たちを救うべく、一人で村を後にした。



「最初は、王国の……聖女様のところに行ったんです」


「聖女……」


シェイラは元気にしているかしら……

私はイーリスの話を聞きながら、そんなことを考えていた。


ところが彼女は聖女に会うどころか、王国に入ることすら出来なかったみたい。

そういえば王国で人族以外の人間を見たことがなかったわね。

帝国へ来て初めて見かけたわ。


「王国では人族以外、特に獣人族への差別と迫害が酷いと聞いたことがあります」


とイーリスの話を聞いたリリアさんはそう説明してくれた。

私も噂では聞いたことがあったけどまさか本当だったなんて。


「追放されちゃったけど、王国民の一人として代わりに謝罪するわ。ごめんなさい」


「別に、サーシャに誤ってもらう必要なんてない」


イーリスに怪我は、国境で王国の人たちから受けたもの。

関係ない、で私には済ませられるものではなかった。

でも私にできることなんてほとんどないから、彼女の手伝いくらいはしっかりしないと。


「私たちの村には、よく王国の商人が来てたんです。私たちに優しい人たちだったから……」


「王国の商人……ですか」


「リリアさん?」


リリアさんはイーリスの話を聞いて何か思うところがあったのか、自分の部下の騎士達も連れて私達に同行して来ていた。

途中何度か魔物に襲われる場面もあるが、無事切り抜けられている。


「そろそろ見えてくるころかしら……」


とここまでの道のりで疲れたのか、イーリスの足取りが少し覚束なくなっているのに気付いた。


「大丈夫?」


「へいき……」


「あれ見てください!」


とアイラが指示したほうを見ると、煙が空に上がっているのが見えた。


「あっちは村の……」


とイーリスが走って煙のする方角に向かっていった。

もしかしてイーリスの集落で何か起きてる……


「私たちも急ぎましょう」


リリアさんも何かを察したのか、先を急いで村へと急行する。

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