13.初めてのクエストと戦闘②
それからは無我夢中だった。
ゴブリンの手に持っている棍棒をよけながら、攻撃を加えていった。
昔、金属バッドを持ったTHE不良みたいな奴と喧嘩したことがあったから、その経験が活きたようだ。
気が付けばゴブリンは血まみれになってその場に横たわっていた。
その姿を見て、少し気持ち悪くなった私は口を抑えてそれから目をそらす。
「お嬢様!」
心配してくれたアイラが私の元へ駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか……」
「平気……それよりも早く此処を離れ……」
私が言い終わるよりも前に、周囲の木々から複数の物音が聞こえてきた。
「そんな……」
森の中からゴブリンが、それも群れで私たちの前に現れた。
おそらく先ほどのゴブリンの仲間なのだろう。明らかに殺気立っているように見える。
「走って……」
言うや否やアリアの手を引いて逃げようとする私たち。
それを追いかけてくるゴブリンたち。
私たちは森の入り口を目指して逃げようとしたが、それを分かっているかのように立ちふさがるゴブリン。
私がゴブリンに殴りかかり怯ませて道を開けようとするも数が多すぎる。
すると、私の背後から矢が飛んできて、ゴブリンに命中する。
恐怖を感じながらも、アイラも援護してくれた。
それから私たちは、足を止めず移動しながら、私がゴブリンに殴りかかり、後ろからアイラが弓矢で援護していく形をとりながら、何とか立ち回っていた。
それでも段々と森の奥へと追いやられていく私たち。
私たちの体力も限界が近づきつつあった。
「お嬢様!」
アイラの声がした方を向くと、私をかばうようにアイラの姿が、
更にはアイラの背中に矢が刺さっていた。
見ると目の前には近くの枝から即席の弓矢を作ったであろうゴブリンの姿があった。
それで私を狙った攻撃をアリアが庇ってくれたようだ。
「アイラ!」
「ご無事で……良かった……っ!!」
アイラは痛みで動けそうにない。
私はアイラを守るようにゴブリンたちに向き合う。
「アイラに手は出させない!」
私は意を決してゴブリンたちに立ち向かう。
しかしながら多勢に無勢。
段々とゴブリンの攻撃を受けて立ってるのもやっとの状態の私。
「キャー!!」
「アイラ!!」
とアイラに襲い掛かったゴブリンを倒そうと向かうもゴブリンに邪魔される。
「邪魔するな!!」
私の願いもむなしく、ゴブリンたちがアイラに襲い掛かっていく。
ビリッと衣服が破れる音がする。
そして私もゴブリンの攻撃を受けてその場に倒れてしまう。
「アイ……ラ……」
アイラだけは逃がさないと……。
動かない体を無理やり動かそうとする私……でも体は動かない。
絶望が私の中を支配しようとしたとき……。
無数のゴブリンの悲鳴が響き渡る。
「1匹も逃すな! この場ですべて殲滅しろ!」
そんな女性の凛とした声が響き渡る。
と同時にゴブリンの断末魔が何度も聞こえてくる。
私はそれを聞いたのを最後に意識を失った。