11.鑑定
「……失礼しました。今日は冒険者登録ですね。こちらに必要事項を記入してください」
と冒険者登録に必要な書類アイラさんから渡された私たちは、必要事項を記入していく。
マリーさんが言うには、帝国は事情があって来ている人が多いから、最悪必要なのは名前とか年齢とかだけでいいらしい。
「それとこちらに手を乗せてもらえますか?」
マリーさんが手のひら大の石?を机の上に置いた。
「これはですね……」
「待った。彼女たちの鑑定は私がやるよ」
「リーザさんがですか……?」
「ちょっとサーシャのことで興味があってね。悪いけど奥の部屋を使わせてもらえるかい?」
私たちはマリーさんの案内でギルドの奥にある部屋に連れられた。
リーザさんが言うには、この部屋は密談をするために使用する部屋らしい。
「今日はマスターはいるか?」
「マスターで――」
「俺ならここにいるぞ」
と気付いた時には部屋の入り口に男性の姿が。
今のやり取りをみるに、おそらくこの人がギルドマスターなのだろう。
……手には酒瓶を持っているけど。
「昼間っから一杯引っかけてんのかい。ほんとあんたは変わんないね」
「うっせぇ。これくらいは気付けに丁度いいんだよ。それで、お前さんが来るなんて珍しいな」
「丁度いいや。遮音魔法を張ってもらえる?」
リーザさんの言葉に、即座にマスターは何かを理解したようで、すぐに遮音結界を張った。
「うちの冒険者たちの間で話題になってる子ってのは、その子たちかい?」
と唐突にマスターが切り出した。
「そうだね。おそらく彼女、サーシャのことだろうね」
「あの、私が何か……」
「……っと、冒険者登録の続きだね。早速始めようか」
とリーザさんが冒険者登録の続きをすることに。
リーザさんは、『鑑定』スキルというのを使えるらしい。
そのスキルは、対象者のスキルやギフト・技能の詳細な情報を視ることが出来るというもの。
さっきマリーさんが見せた石―鑑定石と呼ばれるらしい。それでも観れるけど、リーザさんが観ることになった。
なんでも私のことに興味があるからだという。
私のギフトはリーザさんやマスターも知らない名前だったり、店を訪れた冒険者の様子から、『舞踊家』がただのギフトではなく、この世界に新たに生まれたギフト―「オリジンギフト」ではないかということだ。
「まずは私が!」
とアイラがまずは自分が鑑定を受けると言い張る。
その言葉に押されたリーザはアイラから鑑定する。
リーザは鑑定で観た結果を紙に記す。
アイラ・ルロワ 15歳 女
スキル:『射撃』
技能:遠距離攻撃威力上昇・視力補正・命中補正・料理
渡された紙には、アイラの持つスキルと技能が記されていた。
アイラに『射撃』スキルがあるなんて初めて知った。
王国ではギフトの有無しか分からなかった。
これにはアイラもびっくりしつつ、「昔から目が良かったな……」と思い当たる節があったみたい。
「次にサーシャの番ね」
とリーザさんは私のことを鑑定スキルで観た。
サーシャ・フロイライン 17歳 女
ギフト:『舞踊家』
スキル:格闘術
技能:壱の舞『力』・打撃攻撃力上昇・視野補正・物理耐性
「『舞踊家』……壱の舞『力』っていうのがギフトの技能かな。うーん……やっぱり聞いたことないなぁ」
「俺も聞いたことないな」
「誰も見たことないギフトですか……サーシャさんは素敵ですね!」
「そうですよね!」
リーザとマスターは、サーシャのギフト彼是考察を繰り返している。
対してマリーとアイラは、やっぱりサーシャは凄いと褒め称える。
……ちょっと照れる。