創造神との出会い
ドン!!
「早く飯持ってこんかい!」
今日も今日とて一日八食。ずっと食べ続けているわけじゃないところがまだ俺の偉いところだ。こんな俺でも毎日続けていることがある。柔軟運動だ。たくさん食べるために少しでも消化しようと柔軟をやっている。
「ぐふっ」
急に胸が苦しくなる。視界がぼやけて、頭は左右にグラグラ揺れる。
そういえば俺、糖尿病だった。
目を開けると、謎の生物が目の前にいた。
ヘラクレスオオカブトのような角を持ち、ライオンのたてがみをたずさえ、あばら骨はもろにさらけでてしまっている。
しばらく見つめ合っているとおなかがすいた。
「お前、おなかがすいているんだな。」
謎の生物が話しかけてきた。
「ワシの名前はセナウルス。お前に食い物をくれてやる。」
そういってセナウルスは体から不思議な光を出して俺の口に運んだ。
「うまっ。」
「うまいだろう。まだまだあるぞ。」
そういってセナウルスはどんどん光をくれる。俺は待ちきれず吸い込んでしまった。
「おい、ちょっと。吸い込むな」
俺が吸い込み切るとセナウルスは跡形もなく消えてしまった。
とてつもない満足感があった。この先何も食べなくてもすむような。
「おい、お前。なかなかいいからだしてるじゃないか。暮らし心地は悪くないぞ。」
俺の体の中からセナウルスの声がした。
「脂肪が多いし、筋肉も柔らかい。ワシを収納できるなんて持ってるなお前。どうせスキル創造は持ってないんだろ?これで使えるぞ。」
「スキル創造?」
「この世界ではスキル創造を持っている人と持っていない人で大きく格差が開いているんだぞ。なにせ、スキル創造はなんでも作れるからな。試しにやってみろ。」
「どうやるんだ?」
「作りたいものの色と形をイメージしろ。次に、どこかの空間のその体積分の空気をイメージするんだ。そしたらできる。リンゴを手のひらの上でイメージしてみろ。」
言われたとおりにしてみると、本当にリンゴが完成した。
「おお、これなら食べ物に困らない。」
「ところで、お前。このままだらだら過ごしていくわけじゃないよな?」
「いや、そのつもりだけど。」
「それだとワシが困るんだ。世界に散らばったワシのかけらを集めてもらわないといけないからな。」
「そんなめんどくさいことしたくないよ。」
「ワシが完成したら、英雄になれるぞ。女の子にモテモテだぞ。」
「別にいいや。食べるものがあれば、それで幸せだし。」
「ワシはもっとうまいもの知ってるんだけどなー。」
「何?」
「ワシが完成したら、教えてやろう。」
「めんどくせ。とりあえず、寝床さがそっと。」
「そのうち、そんなだらだらした生活には飽きるぞ。」
「いいんだよ。これで。」
適当に方向を決めて歩くと、驚くほど体が軽い。走り出したらチーター並みだ。
全力疾走していると、人影が見えた。
「あのー、村って近くにありますかね?」
「えっ?あなた、セナウルス様ですか?」
「え、そんな有名なのセナウルス。」
「創造神ですよ。知らないんですか?」
「おい、そこの女子。」
セナウルスが話しかけた。
「なんでこいつがワシだと思ったんだ。」
「ええっ!?セナウルス様ですか?」
「そうだから、質問に答えろ。」
「私はジュダ教の信者で、神と人をつなぐ大事な役目を担っています。私は昔から神が見えるように教育されてきました。おそらくその影響で見えるんだと思いますけど、」
「ほうほう。この女子も必要だな。」
「それで、村ってー」
「ああ、この近くにありますよ。きっとお母さんたちも驚くだろうな。セナウルス様が来るなんて。」
俺は早速、いろんな人に会わなきゃいけない予感がしてめんどくさくなった。