捏造の王国 その52 全感染(捏造の王国編)
例年通りとはいかないゴールデンウィークに自粛に従うもの、抜け穴をさがすもの、半ば無視するものなどニホン国は右往左往。官邸のガース総理も選挙三連敗に国際大運動大会開催強行の結果予測に叫び声をあげそうになる事態となり…
休みが短すぎと内外から叩かれるニホン国でも翌月にかけて最大の連休が取れる4月の終わり。通称ゴールデンウィークが直前に迫るものの、ウイルスの蔓延で各種行政の規制が入りまくりのニホン国。いつもは浮かれ騒ぎであるが、今回はかなり水を差され、自粛に渋々したがうものと、飽き飽きしてひそかに破るもの、自棄もあるのか路上、公園で飲みまくるものなど混沌としていた。もちろん、ここ官邸でも
「何いー、補欠などの三戦選挙全敗で、ガース卸が始まっただと!」
支持率爆下げ、御用新聞にすら難色をつけられるガース総理。ただでさえ、語彙、言い回しに問題があると揶揄されているが、今回は特にひどくなっている。
「総理、卸ではございません、降ろしです。もっとも各種卸売り市場でも自粛の要請というか強制で反発をくらい、ドヨス卸売り市場では“協力金の対象でならないなら酒と寿司は売る!”と息巻く業者もいるそうですが」
電話越しに総理に冷静に訂正をいれつつ、余計ともいえる情報を付け加えるのは、シモシモダ総理補佐官、今日も嫌味が冴えている。
「と、とにかく国政を占う選挙で惨敗とは、た、確かに不味いが。やはり協力金だの金をまくとか、ワクチン確保」
「総理、ワクチンの製薬会社に大量輸入の確約はとれず、単に口約束というのは既にバレバレです。なにしろCEO自ら、確保など約束してない、こちらは困惑とSNSでつぶやいているんですから。言いにくいのですが、かえって墓穴を広げた…」
と相も変わらず厳しすぎる指摘にグサグサと心臓を刺されるような気分のガース総理。
「ああ、私は今年も新茶摘みには参加できんのかー!わが手で摘んだ茶で、ティータイムを楽しむ夢が!くぅ!」
「総理、県をまたいだ移動は自粛です。総理自らが破れば示しがつきません。というか、厚労省に感染研などという先頭に立って守らなければならない立場が酒盛り、会食。オーサカでは市職員千人以上も会食とか、言い訳しているようですが、これでは感染爆発になるはずだと」
「ヨジムラ府知事に期待していたのに、これでは全く真逆ではないか!かえって、どうしようもない言うだけの役立たずのお仲間と思われるだけだ!」
と長官時代からの迷走発言、無能政策を棚に上げて怒りまくるガース総理。そろそろうるさくなってきたのか、シモシモダ総理補佐官が話題を変えようと
「やはり国際大運動大会はとりやめたほうがよいかと。医療崩壊寸前というのに看護師を500人よこせだの、選手や関係者の入院先は確保してあるなどと、国民、特に都民の神経を逆なでしまくっています。23区では既に救急患者がたらいまわしになりつつありますし、都知事が突き上げられまくりですし」
「あんな女はどうでもいい!国際大運動大会は是が非でも開催しないと…」
“利権がとれずに便通もダソナだかも潰れますからねえ。ただでさえ、9割中抜きって、それって横領みたいですねえ。ダケナカさんって鬼より酷いって獄卒どもが呆れかえってましたよお”
と、遅れながらも突っ込みをいれまくるのは、レギュラーメンバーの座に居座る地獄の書記官。今回はなぜか、ちょっと離れた大きな窓から上半身まで映っての御登場である。
(ひいい、なんで、また、でるんだ!)
“今回はあ、国際大運動大会をやった場合に、新型肺炎ウイルス感染がどう拡大するかのシミュレーション結果をお持ちしましたよお。まあプガクとかのスパコンでもやってんでしょうけどお。忖度無し結果を提示してあげないと、ほら貴方方、事態をすごい極甘に見積もりますからねえ”
「そ、総理?」
「あ、シモシモダ総理補佐官。な、何でもない。窓に、そう窓にそばの木の枝があたったのか、大きな音がしてな、驚いただけだ。そ、そうだ、その例のスパコン、プガクだかに国際大運動大会を開いた場合の感染がどうなるかの予測をさせてみてくれないか?それによって開催の検討も」
「承知しました。直ちに手配します」
とシモシモダ総理補佐官は電話を切った。
(ふう、こんな異世界というか異界の化け物と交信してるとしれたら、ますます支持率が…)
“えー、貴方方のほうがよっぽど化け物ですよお。感染がどこまで広がったら開催取りやめなのか、どう抑えるかって記者さんたちの質問はぐらかしてえ、何がなんでも開催って、ホントに庶民はどうでもいいんですねえ。鬼畜より鬼畜ですねえ、ガースさんたち。我々なんてちゃんと生前の罪に応じてやってるのにい、いたいけな幼子が交通事故で救急車でたらいまわし48時間待ちで死亡しても、良心すら痛まないんですねえ、この非人間さん”
おちゃらけてはいっているが、皮肉と怒りがこもったような地獄の書記官のセリフに
(いや、その医療崩壊がおきてるのはオーサカだ!トーキョーはまだ、その)
“でもお、大会開催したらあ、全感染ですよお、関係者だけじゃなく、下手するとニホン国中”
(ぜ、ぜ、全感染!!)
“そうでーす。さらにい、7重変異株、8重とかもお。末広がりですけどお、全然めでたくないですねえ、ちなみにい、これがグラフですよおお”
窓をスクリーン代わりに出てくる感染予測グラフやら、感染者、重症者、死者の図表。言葉だけでも怖いが図で見るとさらに全感染の悲惨さがよくわかり、恐れおののくガース総理。
(目出度いどころか、惨劇だ!恐怖だ!2重でさえ、恐ろしいというのに8重とかならもう、もう)
“予測ではあ、感染したら、ほぼ死ぬか一生後遺症抱えるかの二択しかないかもってですねえ、8重。なにしろ免疫を全く働かせず、あちこちで炎症おこしてえ、で、内臓とか脳やられなくても筋肉とかが使いものにいならなくなっちゃってえ”
(ひいい、まさかそんな。選手には検査も!)
“選手だけ検査しても駄目ですよお。接触する人いるでしょ、ボランティアとかあ、選手村を掃除したり、ご飯を提供したり、会場で働く人とか、それこそいっぱいいますよねえ。その家族とか、通勤とかで一緒になる人とか全員検査しないとねえ。だって同じ部屋にいただけで感染しかねない協力変異株もうはいってますし。一日で都民全員検査できるぐらいのペースでないと、たぶんダメでしょお。それに感染研のオンミさんがいってて、カナガワンとかオーサカの府知事が推奨するマスク会食とかあ、マスク食事中に触るからあ、かえって感染拡大になるって予測もありますよおお”
(ぎょえええ、ほ、本当か!た、確かに食事中外したりつけたりすれば、手にウイルスが。その手で食べたり、鼻を触ったら…。感染してしまう!)
“なんか、気分というか思い付きでちゃんと検証しないで言ってるんですねえオンミさんって。去年の4日発熱ルールも酷いですけど、かなりいい加減なんですねえ、偉い人なのに中身が疑問ですねえ、まあガースさんも同類かあ。これも本当に頭のいい学術ニホンとかの人をいじめて遠ざけた報いですかねえ”
チクチクと痛いセリフを吐きまくる地獄の書記官。だが、ガース総理はなんとか気をとりなおし
(大会関係者はわかるが、なぜそれで、ニホン国が、私たちが感染するんだあ)
“え、アナタたちだって関係者ですよねえ。いくら屋外にちかい施設とはいえ、感染者となった選手やらに近づいちゃうこといっぱいありますよねえ、総理とかは。で、感染。まあ、感染力が超強力なら、大会関係者から、家族、知人、電車バスに乗り合わせた人、そばですれ違った人も感染しまくってえ。そこからまた感染してえ。ネズミ算式に超増えますよね、あ、ガースさん算数苦手でしたっけ。感染者の数とか検査数とかよくわかってなくてえ、宣言出したり解除したりしてますもんね”
自身の基礎学力まで揶揄されて、頭が茹で上がるガース総理。しかし感染の恐怖が先にたったのか
(そ、それで、どうなるんだ私たちは!オンミ会長らの病院には我々がかかるために病棟はあけてあるから、大丈夫だとは思うが)
“あ、やっぱ自分たちだけ助かろうとズルしてたんですね、ジコウ党の人達。ズルい党に改名したらどうですかあ。ま、オンミさんとこも無理ですよ。だって、周囲が全員感染してあそこだけ免れるとでも?核シェルター並みに建物覆って、物資、食料をだいぶ前から運び込んどかないと無理ですよ、三年分ぐらい。外部とちょっとでも接触したらおしまいですから”
(そんな!ニホン国はどうなるんだ!)
“まあ、生き残る人はすこしはいるでしょうけど。あ、共産ニッポンの人達とかわりと免疫力高そうだから後遺症もあんまり残らないかもしれませんね。レイワンの党首さんとか若いし。ジコウ党は、その会食というか外食好き、酒好き、たばこ好きですから、激減ですねえ。サンカイさんとかアトウダさんとかウイルスの真の実力に驚く暇もなく私らのとこにきそうですねえ。来たら現世での罪の重さと刑罰に仰天しそうですが”
(わ、私は非喫煙、酒もやらん!)
“でも会食好きだし、ホットケーキとか好きですよねえ、甘いの。あれもヤバいですよ。お茶飲んでる分少しは軽減されますが、ストレスというか、悪だくみの報いというかでねえ。総理とか政治家とかスパッとやめて、御実家でクロイチゴを作ってたほうがよほど心身ともにいいですよお。無理に大会開催して、超強力化したウイルスに感染して呼吸困難、全身炎症、マトモに動くこともできない。地獄の苦しみを現世で味わいつつ死んで、さらに私たちのところでより大きな苦しみを与えられる方がお望みですかあ”
淡々と恐ろしいことをいう地獄の書記官。思わず耳をふさぎたくなるガース総理に一本の電話が
「総理、お待たせしました。プガクの予測結果ですが」
シモシモダ総理補佐官の沈痛な声
「ど、どうした、まさかニホン国中全感染とか」
「そ、その通りです!選手、関係者が無自覚で母国や経由地、ニホンで変異株に感染。検査でも検出できず、隔離も間に合わず、変異株がさらに変異して超強力8重変異株の出現まで…」
プガクの結果と書記官の予測がほぼ同じすぎて言葉もないガース総理。
「総理、やはり開催は取りやめにすべきでは。いくら利権と言ってもニホン国が病人だらけでは、おしまいです。ダソナや便通も国がつぶれれば、元も子も…」
(確かにそうだが、つぎこんだ金の明細とかバレたら、それはそれで。ダソナの超中抜きだけではない、私やサンカイさんやアトウダさん、アベノ前総理まで、いろいろと追及。下手すれば投獄だの、財産没収だの。いや、しかし苦しんで死ぬよりマシか。…プガクとかの結果が間違い、いや、プガクだぞ、ニホン最優秀スパコンだぞ、それに地獄の書記官が早々嘘は…あーどうすれば)
どちらに転んでも自分たちはろくでもないことにしかならない選択を突き付けられ悶々とするガース総理であった。
どこぞの国では行政トップ他、医療崩壊しようと経済打撃になろうと、何が何でも五輪開催強行するつもりのようです。さらに開催した場合の感染他の予測を甘すぎるザッハトルテ(オーストリアのチョコケーキ、メーカーによっては砂糖そのもというぐらい甘い)よりもさらく甘く見積もってますが、そううまくいくのでしょうか。アメリカやらイギリスやらのメディアが指摘するように変異株の見本市、さらに五輪株なんてものが出現したら、だれがどう責任取るんでしょうか。トップ、幹部全員ハラキリぐらいではすまないかもしれないんですが。