1-ト型
「うーん、どうやってあそこまで行こうか」
アンドロイドたちが打ち捨てられていた場所は、深い渓谷の向こう側だった。
橋の一つでも残っていれば簡単にわたれただろうが、そんなものはない。
仕方ない、使うのはもっと重要なときにしておきたかったが、そうもいっていられない。
グロウキドニーと成長促進剤をバッグ取り出し、グロウキドニーを埋める。そこに成長促進剤をかけると、それは急速に成長し、太く長いツルになる。この種の植物は成長の方向の指定が容易であり、橋を作ったり柱にしたり、様々な使い方ができる。あくまで一時的なものなので、これを使っている間に柱や橋を建てたり修理したりする。この橋は、キドニーによって多少の差はあるが、半年から一年は保つ。わたる人数がまずいないだろうから、もっと長持ちするかもしれない。
渡ってくると、思った以上にアンドロイドと、それと同様かそれ以上の数のロボットの残骸が転がっている。構造が単純なロボットを起動させる方が楽ではあるが、アンドロイドがいる手前そうもいかない。しっかり五体満足に残っているアンドロイドがいないか探す。そうでなくても、基板に傷が入っていないなら構わないが、戦闘の跡があるものに関しては内部にも傷がある可能性もあるので、できればしっかり残っているものがいいだろうと思ってのことだ。
埋まっている機体を掘り起こしてみると五体満足に残っている物がほとんどだったが、ほぼすべてのアンドロイドが、肝心の基盤をやられている物ばかりだった。これでは修復のために必要なものが多すぎて、現状での修理は不可能だ。
直せそうな機体は残っていなかった。残念だ。
機体のタイプが違っていたので、部品も多少ずつ違っていた。ここに転がっているタイプはあまり戦闘に向いた形ではないようだ。補助やハッキングのような支援をメインとする機体か。出力系のコードは多数あるが、そこから情報を読み取ることはできなかった。マザーが壊れている時点で望みは薄かったが、完全に断たれてしまったようだ。
散らばっている部品を拾い上げて、解析してみる。アンドロイドたちはいくつかの皮膚ブロックに分けられて作られていたようで、修復不可能な傷を負った場合は一部分を取り換えられるようにしていたのではないだろうか。
部品の素材は分からない。持ち帰って調べてみたいところである。
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