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無色透明  作者: アタマオカシイ
1型戦闘モデル
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1-リ型

タイムマシンで一人旅をしていることから分かるかもしれないが、一人で食べること自体には慣れている。しかし、誰か、この場合では食事が可能な者(や物)がいる(ある)のであれば、食卓を共にしたい。味覚があるのかも気になるし。

「味は分かるか?調理のときに少し失敗してしまってね」

彼女は何とも言えない顔をして、私の作った弁当を飲み込む。味覚はあるようだ。このアンドロイドは極めて人間に近しい形で作られている。分かっていないのはあと触覚のみだが、この様子だと触覚も再現されているようだ。ここに夢を見る機能までついていたら、それはもう人間と言って差し支えないのではないだろうか。

「いささか塩が多くなっているはずだ。これでごまかしてくれ」

と飲み物を渡す。普段ならば市販のスポーツドリンクを入れておくのだが、今回ばかりは塩分をなくした、砂糖レモン水である。なにかいい名づけはないかと思っているが特に不都合はなかったので今のところはそこまで考えていない。

ただの戦闘型アンドロイドであれば、味覚センサは不要なはずなのだが、わざわざつけられているということは、

「君は元から戦闘用として作られたモデルではないね?」

「私たちの最初の型番は、ヘルパーロボットであったと聞いています。それを流用して兵器利用するようになったと」

人型の支援ロボットが兵器に転用されるようになった、か。これもよく聞く話だ。ロボットであれば壊れてもまた作ればいい。人にはさせられないことも可能である。でも、感情があるというのは、判断を鈍らせることになって、戦争とはいえ悪影響があるのではないか?そう考えると、本当に感情があるのかとまた考えてしまう。堂々巡りをしていても仕方ない。開発者に聞かねばわからないことは後回しだ。


引き続き探索を進める。建造物の大半がかなり老朽化し、いつ崩れてもおかしくないものもいくつかある。修復キットはあるが、この周り全てをカバーできるほどの量はない。量を考えて使わないと。どの建物に何があるかわからないこの状態では判断しきれないので、何の建物なのかを彼女に聞きながら、重要な建物を見極めていく。大半の建造物は空っぽらしい。建築技法等はそこまで変化がないし、特殊な建て方の建物もないので、キットを使う必要があまりなかったのは僥倖だった。ただ、コロシアムはしっかり確認したが、ほかに参考になりそうな建物はほぼなく、新たな情報を得るには至らなかった。唯一必要と思われる建物は情報室だけだった。それも、電子データとして残されていたものが多かったのか、中は整理されていたが、破損されたデータが多く、重要な情報の大半がダメになっていた。書類の一枚でもあれば読み取りはできた。デジタルの弱点が私の情報収集を拒む形になってしまった。

次回は7/19更新です

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