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プロローグ
「なるほど、彼らは一つの民で、同じ言葉を話している。この業は彼らの行いの始まりだが、おそらくこのこともやり遂げられないこともあるまい。それなら、我々は下って、彼らの言葉を乱してやろう。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように」-創世記 11章1-9節
かつて人々は一つだった。彼らは神になりたがった。
神とは何なのだろうか。人はまず空に神を求めた。
人々は天高くそびえたつ搭を建て、神に会わんとした。
だが、そこに神はいなかった。
次に人々は、大地の内に神を求めた。
人々は深く穴を掘り、神に会わんとした。
だが、そこにも神はいなかった。
次に人々は、海に神を求めた。
人々は深くまで潜れる舟を作り、神に会わんとした。
だが、そこにも神はいなかった。
最後に人々は、人の中に神を求めた。
人々は心を探り、神に会わんとした。
だが、そこにも神はいなかった。
人々が神を見つけることは、ついになかった。