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009

幸手と昇降機で、地下深くまで降りてドアが開く。


開いた先には、巨大な空洞に街が一つ入っている感じのジオフロントが広がっていた。

だが、違和感が凄い。

近代都市の感じではなくて寂れた街並みでシャッター街のレトロ感満載である。

天井は、高く100m以上ありそうだ。

天井からは、昇降機用の柱や天井を支えていると思われる太い柱が街から生えていた。

照明は多めに設置された街灯で照らされていて、夜中の寂れた田舎町に来た気がする。


「お! なんだこれは!」


「ここが、開設当初では最新のシステムを完備した中枢だったのですが、時代の流れで老朽化してしまい情報隠蔽の為に修理もあまりできずに、使っている国家特務機関の施設よ」


開設って、何年前なんだ?

考えたらここまで来るのに乗っていたエレベーターと言うより昇降機と感じたレトロな感覚から昭和初期以前なのか?

明治時代の人が来たら最新の設備に見えるかもしれない。


案内されて街の中心の方にある、田舎の公民館みたいな2階建の建物に案内される。


スリッパに履き替えて中にある会議室に入ると、2人の男がいた。


一人は、見覚えがある。

大会の受付の親父と、受付の時に美東に絡んできた森田と名乗った男だ。


「お!殺されずに来やがった。賭けは俺の勝ちだな」


「マジっすか!幸手ねーさん!俺の時は、躊躇なく襲って来たのに。おかしい!志向さん絶対に仕込んだろ!」


「幸手が俺の言うこと聞くわけないだろ!」


「うるさい!殺すぞ!」

幸手が、いつのまにか持っていたナイフを二人の男に投げた。


大会の受付の親父は、手で弾いた。

森田は、真剣白刃取りのように、両手で飛んできたナイフを挟んで受け止める。


凄い!なにこの二人!?

自分が場違いすぎるだろ。

バイオレンス!?


「では、話を始めるぞ」

幸手が何事もなかったように、準備されていた会議室のプロジェクターの電源を入れてスクリーンに地図を表示した。


「幸手!ちょっと待て自己紹介はどうした?」

「ゴミみたいな奴に紹介する必要があるとは思えない」


「大会の受付で会ったな。俺は志向 大だ。

陸上自衛隊の1等陸佐で、お前と同じ立場で非常勤だな。色々な教官をしている。お前を推薦したのは俺だ!ありがたく思え!」

いや、めっちゃ迷惑なんだが。こんな恐ろしい組織はすぐに抜けたいぞ。


「俺は、森田(モリタ) (マモル)だ。日本の警察の警備部に編成されている特殊急襲部隊(SAT)のエースだ!ピストル競技で世界一の男って呼んでくれ」


「森田、嘘つくな日本大会で美東に負けただろ」


「運が悪かっただけだ!次回は……いや、無理か。まぁ男子では最強だ!」

森田が、美東に対して弱気だ。

美東は、ライフルではなくてピストル競技が強いのか?


「お前、それ恥ずかしくないか?」


「自己紹介は、済んだか?話を進めるぞ」


幸手が手元の装置を操作すると会議室が暗くなって壁にあったスクリーンに日本地図が出る。


関東付近にプロットが出てそこの画像が大きくなった。


建物が表示されて、中継されているのか動画で警察官が建物を囲んで包囲していた。


「現在、テロ組織の【スナッチ】が、総理大臣の娘を攫って建物に立て籠もっている。要求は12時間以内に仲間の解放する事で、あと5時間しか無い。

犯人の数は13名。

既に3回突入して10名を無力化している。

警察官の被害が20名を超えてしまい、我が組織に鎮圧の依頼があった。

残った3名は、スナッチの戦闘員で最強クラスだ。

3人で対応してもらう」


「鎮圧?救出ではなくて鎮圧で良いんですね」


「そうだ鎮圧だ」


志向の質問に幸手が答えたが、回答を聞くと森田と志向が、複雑な表情をした。


勝手に説明が進んでいき、私は現地へさらわれた。



夢を見ているようだ。

犯人が立て籠もっている建物が見える500m離れた場所に、志向に渡された、大会で使用したライフルを構えて待機している。


耳にはイヤホンをつけて同時通話型の無線機を装備している。


「帆井。聞こえるか?俺と森田で突入するからバックアップを頼む」


手元のパソコンに、志向と森田の目線に付いた小型カメラのライブ画像が映っている。


建物の大型会議場に、潜入するようだ。

バックアップって?

建物の窓は全てカーテンがかかっていて、中は全く見えない。


2人が突入すると二人の目線についたカメラから画像が送られてきて会議室の中が見える。

男が一人、窓際のカーテンの隙間から外を伺っていた。


後の二人が、縛られている女性の人質を痛めつけていた。

女性の手が変な方向へ曲がっている。


突入直後に森田が発砲して一人を倒すが、もう一人が反撃で発砲して志向に当たったのか志向の画像が乱れて倒れる。


カーテン越しにいた男も発砲して森田も倒れた。


この二人無謀すぎるぞ!


やばい!


と思った瞬間に巻き戻った。


「帆井。聞こえるか?俺と森田で突入するからバックアップを頼む」


作戦もないのか?

むちゃくちゃだな。

カーテン越しに立っていた男の窓は、外から予測出来るので、ライフルでとりあえず発砲した。


突入した二人の視界に、カーテンの側の驚いている男の姿があった。

外したようだ。

このままだとやばい!


と思った瞬間に巻き戻った。


「帆井。聞こえるか?俺と森田で突入するからバックアップを頼む」


また、戻ったのでカーテンの側にいる男が倒れるまで繰り返した。


そして、

突入した二人の視界に、カーテンの側の男が、頭から血を流して倒れる姿があった。

当たったが、死んでのか!?


手が震える。

なんでこうなった?


だが、犯人達が人質を暴行していたシーンを思い出し、心を奮い立たせる。


私の攻撃で運命が変わったのか、初期と違って森田の発砲で誰も倒せず、志向も攻撃を受けないで、会議室の机や椅子に伏せて2人が隠れた。


人質の側にいた二人も、身を隠した。


「テメー何発砲してんだよ!」

「カーテン越しに一人倒しただと?まさか俺たちのカメラからの画像から割り出したのか?やはり、お前……」


森田と志向が私に話しかける。


パンパン!


2人の犯人が森田と志向に発砲を始めた。


突然、志向の目の前にナイフを振りかざした男が現れた。


持っている拳銃でナイフを防いだが、犯人は2本持っていて防がれた右手のナイフで拳銃を押さえ込みながら左手で志向の首に左手のナイフで襲ったようだ。

目の前に志向の血が飛び散ったのが見える。


本当に、無理!なんでこうなった!!!

やばすぎる!


と思った瞬間に巻き戻った。


「テメー何発砲してんだよ!」

「カーテン越しに一人倒しただと?まさか俺たちのカメラからの画像から割り出したのか?やはり、お前……」


1分前ではない?

戻る時間は、変えれるのか?


志向の視界から、カーテンが閉められているが男が現れて志向を襲う場所が予測出来る。


カーテン越しだが大体の位置で男が志向の前に現れた瞬間に発砲してみる。


志向の画面が消えた。


志向のカメラに当たったようだ。

ヤバ!!


と思った瞬間に巻き戻った。


「テメー何発砲してんだよ!」

「カーテン越しに一人倒しただと?まさか俺たちのカメラからの画像から割り出したのか?やはり、お前……」


危なかった。味方に当たるとは。

再び志向にナイフを持って現れた男が、頭から血を流して倒れるまで、時間を繰り返しカーテン越しに予測ポイントへ発砲した。


突然、志向の目の前にナイフを振りかざした男が現れた。


持っている拳銃でナイフを防いだが、犯人は2本持っていて防がれた右手のナイフで拳銃を押さえ込みながら左手に持ったナイフを志向へ持っていく寸前にナイフを持った男が、頭から血を流して倒れた。


やっと当たった!

犯人は、あと一人だ。


森田の映像を見ると、人質の頭の銃を突きつけた男がいた。


「お前ら何者だ!銃を捨てろ!人質を殺すぞ!」


「人質?俺らは鎮圧しか依頼されてないからご自由にどうぞ」


森田が、警告を無視して男に発砲する。

男の眉間に銃弾がヒットし同時に手に持った銃の引き金が引かれた。

人質が頭から血を流して倒れる。


この組織おかしい!

幸手もヤバイけど森田もヤバイ!


と思った瞬間に、時間がまた巻き戻った。


「お前ら何者だ!銃を捨てろ!人質を殺すぞ!」


「人質?俺らは鎮圧しか依頼されてないからご自由にどうぞ」


やはり、戻る時間は60秒固定ではなくて60秒以内の安心して油断した瞬間に戻るように、ヤバイと思った時の心境で変化するようだ。


考えているうちに、再び先ほどの惨劇が繰り返される。


森田のカメラの情報からだと、人質に銃を突きつけている男が窓から離れているためにカーテン越しでも狙えない位置である。


どうする?

考えている時間で何回も、人質が死ぬループが繰り返される。

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