006
美東さんが9番目で私が最後の11番目である。
10番目の人の結果は、8400mだった。
3000mを2回。
3100mを一回当てれば、500万円ゲットなのか?
みんなの真似をして、慣れない足取りで射撃場所へ移動して借りたライフルを固定する。
試射した時と違ってライフルの脚を完全に固定出来る留め具が付いていたので、ガッチリと固定した。
【11番の方、競技を開始してください】
アナウンスが流れると、大型スクリーンの持ち時間が10分から9分59秒とカウントダウンが始まる。
手元のコンソールから的の距離を決めるのだが、どのボタンがどれか、注意してみていなかったのでわからない。
3000mを選択したが、それは一列間違っていて4000mを押してしまった。
4000m 風速3m/s……
やらかしてしまった。
『あいつ何もんだ?』
『当てたら世界記録じゃないか?』
『無謀!?』
『緊張して間違ったんじゃないか』
4000mを選択した為に、背後のギャラリーが騒ぎ出す。
間違ったんです。
ボタンの上に3000mって書いてあったから押したらボタンのしたの4000mのボタンでした。
ボタンの下に距離が書いてあったんですね……
恥ずかしくて顔が赤くなっている気がする。
気を引き締めて、サイトを覗いて調整して射撃準備をする。
美東さんが持ってきたサイトを感で調整するが、凄い望遠性能で4000m離れた的がよく見える。
ただ、距離があるので少しでも動かすと全く違う景色になる。
パン!
とりあえず初弾を発射。
4000mになると、発射から着弾までが遅い。
体感で15秒ぐらい経過してから、かなり手前の右側の地面にヒットしたようだ。
「全く当たる気がしない。ヤバイな」
と考えたら、サイト調整した所まで戻ってきた。
再び調整しなくては駄目だな。
今度は調整してから引き金を引く体制で1分待ってから左上に向けて発射する。
15秒以上過ぎても、何の変化もなかった。
狙う場所が上すぎて、何処にも着弾せずに4000m先に飛んで行ったようだ。
本格的に不味いな……当たるまでの繰り返す回数を考えてゾットする。
再び、引き金を引く体制に戻っていた。
その後、何度も撃って100回を超えてもかすりもしない。
だが諦めずに繰り返す。
体感で5時間ほど経過したのだろうか、奇跡が起きた。
パン!
的が揺れて倒れた。
的にヒットしていないのに、的が倒れた。
【ヒット!次弾に移行してください】
アナウンスが流れる。
『え?』
『あ!』
『嘘だろ!初弾で?』
『的が倒れるって?ステイヒットか?』
背後から声が聞こえる。
繰り返している私は何回もやり直しているが、他の人から見ればまだ初弾なのである。
的を支えてている支柱にヒットして的が倒れたようだ。
大型スクリーンを見ると記録が4000mなので、ヒット扱いのようだ。
スッキリしないが、残り5100mで優勝である。
次は4000mよりも低い距離を選んで早く終わらせようと考えて、距離選択の画面を見ると……
3900mまで、ボタンが押せなくなっていて4000mだけが押せるようになっていた。
ま、まさか選んだ距離より低い距離は選べないルールだったのか!
かなり、不味い状況である。
仕方ないので、再び4000mをチャレンジした。
4000m風速0m/s。
風速がなかったおかげか、巻き戻り400回程の400発付近で、見事に中心にヒットした。
次の4000m風速6m/s。
屋外だけに風がコロコロ変わっていく。
やる事は変わらずに、引き金を引くと発射されずに銃が爆発し破片が顔に刺さる。
何事!!
と思った瞬間にスコープを覗いている所に巻き戻った。
不良品の弾丸があるという事か?
銃から装填された弾丸を感で操作して抜いてみる。
弾丸に、特に傷もないが何故暴発したのだろうか?
発射までの時間が2分を切っていたので、その弾丸を抜いて再度チャレンジを開始した。
風が5m/s以下にならず、何度やっても当たらない。
無理せずに次の弾丸でやろうと考えて、わざと外す引き金を引いた。
3発目は外れである。
発射を粘って待つことで風が収まるのを待つ作戦を取った。
3発目から7発目を持ち時間ギリギリで発射することで時間を稼いだ。
そして8発目で、やっと風速が0m/sになった。
チャンスである。
8発目を体感で10時間ほど巻き戻って撃ちまくってやっと中心にヒットした。
9発と10発をわざと外して終了。
結果は、12000mの一位になっていた。