004
さて、マガジンに5発しか入らないので、再度5発装填する。
今度は、自分の能力を使ってみよう。
撃つ姿勢を保って1分経過してから発射する。
パン!
的にすら当たらなかった!
これは不味い!!
と思ったら、的の画面を見ていた筈だがサイトを覗いていた。
巻き戻ったのかな?
少し修正をして引き金を引く。
パン!
的の端に当たった。
これは不味い!!
と思ったら、的の画面を見ていた筈だがサイトを覗いていた。
巻き戻ったのかな?
少し修正をして引き金を引く。
パン!
的の中心に近い所に当たった。
ちょっと嬉しかったが、これは不味い!!
と思ったら、的の画面を見ていた筈だがサイトを覗いていた。
巻き戻ったのかな?
少し修正をして引き金を引く。
パン!
動かしすぎてさっきは、中心付近だったのだが的の端に当たってしまった。
これは不味い!!
と思ったら、的の画面を見ていた筈だがサイトを覗いていた。
巻き戻ったのかな?
結局100回程繰り返して、初めて中心にヒットした。
マガジンを見ると4発残っていて1発しか使用していない。
現実では1分間だったが、私の体感だと100分以上経過した事になる。
肉体的に疲れないが精神的にはかなり苦痛だと思ったが、巻き戻ると精神状態も回復するようで全然耐えれた。
これは、いけるのでは?
百回でも千回でもいけそうだ!
ゲームのレベル稼ぎの為に、同じ作業を延々と繰り返す事が得意だったので苦痛よりも楽しさを感じた。
的を映しているコンソールを操作して1km先に的を出してみる。
早速実験だ。
パン!
的に当たらず、かなり手間で地面に当たったのか煙が見える。
山なりに弾丸が飛ぶので遠くなるほど上に向かって撃つ必要があるのか?
サイトを調整して、再び発射するが的にかする事も出来ない。
30回ほど巻き戻って、初めて的の端にかすった。
60回程で的の中心付近に当たり、100回ほどで中心に当たった。
残りの弾丸は3発。
この調子で1500mと2000mにチャレンジした。
1500mでは、既に数える事もままならぬほど回数を繰り返して中心に当てることに成功する。
2000mに関しては……
的にかすることは出来たが、修正しても微かな修正で的から外れるために、未だに終わらない。
一旦諦めた。
マガジンには、残り1発である。
銃をもっと固定して、僅かな修正を可能にしなければ2000m以上は難しい事がわかった。
サイトの拡大率も、2000mだと最大望遠でもかなり小さく的が見える。
もう少し望遠性能が良いサイトが必要かもしれない。
最後の一発で再度2000mの的にチャレンジした。
結果は、100回以上であり最終的には数えるのが面倒になって何回発射したかわからなくなった時にやっと中心に当たった。
百発一中どころか千発一中未満の気がする。
後半の巻き戻りは結果が見えなかったので諦めようか悩むほど苦痛を伴った。
そのかわり、的に当たった瞬間に信じられないほどの至福を感じた。
癖になりそうだ。
とにかくコツは掴んだ。
巻き戻って練習したために十時間以上練習した気がするが、実際は10分も経過していない事に驚く。
残りの弾丸は15発しかない。
今日は、仮眠室で寝ようと考えて横を見ると美東さんが1000mの的で試射していた。
明日は8時から大会開始で、現在は20時である。
残り12時間ほどで大会が始まる。
対策を考えて早めに寝ておこう。
「美東さん、今日は疲れたので先に仮眠室で寝ますね」
「え?もう調整終わったの!」
試射をやめて私の試射していた操作端末まで来るとログを操作する。
2000mの当てた記録を見る。
「え?えぇ!2000mを一発で当ててる!帆井さん凄い!」
いや、実際は数え切れないほど撃ちました。
「たまたまですよ。」
「たまたまって……銃の説明した私が恥ずかしくなっちゃった!わ、私も負けてられないわね」
すぐに再び自分の試射している場所へ戻って練習を開始した。
☆
仮眠室と食堂はすぐに見つかった。
食堂は、バイキング式で大会参加者は自由に食べて良いそうだ。
大変助かる。
食堂や仮眠室に入る際には、受付に銃器は預ける規則になっているので受付の親父に預けに行く。
「お?もう調整終わったのか?って15発しか使ってないが、もう良いのか?」
親父が不思議そうな顔をしている。
「だ、大丈夫ですよ。それよりもっと倍率が高いサイトって借りれます?」
「なんだと?お前に貸したサイトは、超遠距離ようだがそれでも足りないのか?貸し出しの上に使用弾丸が少ない上にその要求か…… まさかな……
わかった。ありえないが4000m先でも見える倍率の奴を1万円上乗せしたら貸してやろう」
マジか!財布の中身を見ると、帰りの交通費と数千円しか残っていない。
財布を深刻な顔をしてみていると親父が提案してきた。
「なんだ、金欠か?なら違う奴だな。後払いでいいから貸してやるよ。明日迄に渡してやる。俺は忙しんだまた明日来い。ほらどいたどいた」
何故か嬉しそうに、追い返された。
☆
銃器を預けた後に、食堂へ参加費の元を取り返す覚悟で食べまくった。
食堂を眺めると、半分以上が外人で世界各国から来ているようだ。英語以外にも聞いた事がない言語が飛び交っている。
警察官の制服の参加者もいるし軍服やレスキューの装備をしている人もいる。
さすが世界大会なのか?
料理もかなり高級なものばかりで、参加費だけでここまでサービスが良いのも少し疑問に思う。
webの片隅にあった大会の広告からここまで来たのは、何か特殊な運命に惹かれている気がした。




