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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
第6章 幻想闘技・人妖
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第82話 死神と式神

 

 鈴仙が倒れた瞬間に永琳が観客席から立ち上がる。


「…………ッ!」


「あら永琳、向かえに行ってあげるの?」


 モニターを見たまま永琳に声をかける。


「……医者として、怪我人は放っておけないでしょう」


 少し苦しい言い訳だった。だが、輝夜は珍しく揚げ足をとらなかった。


「ふーん、ま、頑張ったんだから褒めてあげなさいよ」


 輝夜はひらひらと手を振った。





「はぁ……はぁ……」


 鈴仙の後ろで妖夢が膝をつく。

 その時、茂みから何かが飛び出す。


「悪ぃな妖夢、私のために犠牲になってもらうぜ!」


 魔理沙がミニ八卦炉を構えた状態でこちらを見ていた。


(ここで避けたら鈴仙さんに当たる……!)


 すでに歩くのすら辛い体に無理やり言うことを聞かせて鈴仙の前に立ちふさがる。


「あんま無粋なことはするもんじゃないぜ?」


 そんな魔理沙と妖夢の間に割って入ったのは炎とともに現れた妹紅だった。


「チッ」

「なっ!?」


「あんな勝負見せられちゃあ応援したくなるよなぁ!」


 魔理沙に向かって炎を放つ。


「ど、どうして……」


「あんた、もう戦えないだろう?」


 妹紅が横目で妖夢の腹部を見やる。

 妖夢が押さえているのはさっきの鈴仙の弾幕をかわしきれずに受けた傷だった。


「そこで提案だ」


「?」


 妹紅が指を立てる。


「一つ、そのまま棄権する。もう一つ、私のデコピンくらって敗北するか」


「ふふっ、じゃあ前者で」


「それがいい。そのうち救護班とか来るだろうし、そん時言いな」


 それだけ言うと妹紅は魔理沙を追って行ってしまった。


「はぁぁ…………私もまだまだですね……」


 小さく呟いて、そのまま地面に寝転んだ。





「行くぜぇい」


 あまり覇気の感じられない掛け声とともに小町が鎌を振る。


(……何かの構えか?)


 距離的には小町の持つ鎌は絶対に届かない。それでも鎌を振るということは何かの技の構えなのかなんなのか……。


「ほいっと」


 瞬間、小町が目の前に現れる。


「何ッ!?」


 距離を詰めた? それはない。その速度を出せるのは紅魔館のメイド長くらいだ。転移? 死神ならばできるかもしれないがそれなら何か使った痕跡が残るはず。じゃあ一体どうやって……。


「くっ!」


 間一髪で上体を反らして鎌をかわす。


「いいねぇその顔。あたいも楽しくなってきた」


 藍の驚愕する顔を見て、小町は楽しそうに笑う。

 全力で後方へ飛び、距離をとる。


「そぉら!」


 だがやはり小町は目の前に現れる。

 しかし藍も驚いてばかりではない。さっきよりも冷静に、確実に状況を把握する。

 まず小町は一歩も動いていない。

 そして周りの景色からすれば藍の方が元の位置に戻された、というのが正しいか。


「お前はまさか空間を操るのか……?」


 鎌をかわしきり、ほんの少しだけ距離をとる。ちょうど鎌の間合いを外れるくらいだ。


「おしいね。あたいのはそこまで強くない。精々が距離を操るってとこだね」


「…………なるほど」


 距離、か。あれは私と死神の距離を操ったから瞬間移動のように見えたのか。


「距離だけならば、勝機はいくらでもある」


 誰にも聞こえないような声で呟き、小さく笑みを浮かべる。


「お、反撃の時間かい?」


 小町が鎌を構え、挑発ともとれるような言葉を投げかける。


「あぁ、そして勝ちは私が貰っていく」


「…………へぇ」


 小町の目が鋭くなる。


「行くぞ、十二神将の宴!」


 藍が地面に手を叩きつけると、小町を中心に12個の魔法陣が展開される。


「この程度で反撃なんて」

「幻神・飯綱権現降臨」


 小町が魔法陣を遠ざけた瞬間、さらにその内側に陣を展開、高密度の弾幕を放つ。


「いくら距離をいじったって、避ける隙間が無くなればいいだけだろう?」


 完全に油断んしていた小町に、にやりと口の端を吊り上げて言う。


「たっはーこりゃ四季様の説教コースかなぁ」


 迫る弾幕を前に、もはや小町は抵抗することはなかった。





「加減はしておいた。油断は禁物っていうのは、死神にも共通らしいな」


 倒れ伏す小町にそう呟く。


「違いないね」


 その言葉に、小町も小さく笑うのだった。




「おぉっとここで今までよりも勢いよく黒旗が上げられた! まさに一瞬の出来事! 死神vs.最強の式神、勝負を制したのは八雲藍だーッ!!」


「発想としては確かに悪くないけど、それを実際にやってのけるなんて……ホントデタラメばっか」


「小町は後でお説教です」


「そんなぁ〜」




 藍の勝ち、か。


「自分の式が勝った気分はどう? 紫」


 自分と早苗の間の空間に向かって話しかける。


「別に、まだ優勝したわけじゃないし、あの程度普通でしょう」


「紫さんいたんですね」


「バレてないと思ってたけどね」


「照れ隠しが下手ね」


 あえて自分とは目を合わせずに話す紫にボソッと呟く。


「何か言ったかしら?」


「いーえ、何も」


 ジト目でこっちを睨んでくるが、そっぽを向いて無視する。


 いよいよバトルロワイヤルも終盤に差し掛かってきた。

 幽香、勇儀、妹紅、魔理沙、藍。

 一体誰が勝つのだろうか。

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