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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
閑話 幻想に生きる
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第70話 守矢神社と博麗神社

 ──博麗神社──


「れ・い・む・さーーーーん!!」


 この声を聞くのは久しぶりな気がする。

 包帯がぐるぐる巻きになった手を、鳥居の下でこちらに呼びかける少女に向かって振る。


「早苗ー! こっ……もご……」


 その少女の名を呼ぼうとすると、背後から口を押さえられる。

 押さえたのはもちろん博麗霊夢。


(どうした霊夢)

(今日は寝たいからちょっと話合わせて)


 有無を言わさない雰囲気を醸し出す霊夢に気圧され、仕方なく了承する。


「霊夢さーん! お久しぶりですー!」


 そこへちょうど早苗が入ってくる。


「あれ、霊夢さんはどこです?」


「そこで寝てる。眠いんだと」


 顎で霊夢のいる方を指し、適当に話を合わせる。まぁ寝たフリなのだが。


「眠い……?」


 早苗が首を傾げ、ゆっくりと霊夢に近づいていく。


「起こさない方がいいぞー。うるせぇから」


 だが、そんな言葉にもお構い無し。早苗は顎に手をあてたまま霊夢のまわりをぐるぐると回る。


「これは……!」


 早苗が何かに気づいたのか、小さく声を上げる。


「霊夢さん、寝たフリですね?」


 その言葉に、霊夢の肩が一瞬跳ねる。早苗はそれに気づいてはいないが、寝たフリだということはわかったらしい。


「あー早苗……たぶん寝て」

「霊夢さんの寝てるときの呼吸はもう少しゆっくりとしているんです」

「oh……」


 さすがにそんなこと言われたらもう何も言えない。フォローのしようがない。てかなんで分かるんだよ。


「霊夢さん……」


 霊夢の背後にゆっくりと、静かに早苗が近寄る。霊夢の頭の真後ろに早苗の顔がある感じだ。


「寝たフリは……いけませんよ……?」


 これはもう俺悪くないよね。

 見えはしないが、おそらく霊夢は冷や汗だらだらだろう。ちょっと怖い。


「霊夢さん……?」


 いつもの元気な早苗と違って、もはや誰かを呪おうとしてるんじゃないかというぐらいの禍々しさを感じさせる。


「れ・い・む・さ・ん?」


「………………だぁぁぁ!! もう! 分かったわよ! 起きればいいんでしょ!」


 ついに堪えきれなくなった霊夢が叫ぶ。やっぱりダメだったか。どうにも霊夢は早苗に弱いらしい。前から分かってはいたが。


「はぁぁ…………で、なんの用なのよ」


「ふっふっふー、よくぞ聞いてくれました。今日はですね……」


 早苗がなにかと含みのある言い方をする。


「今日は! なんと! なんとですね!」


「はやく言いなさい」


「あうっ」


 無駄に勿体つけた早苗が霊夢にチョップを入れられる。可愛らしい声を上げてひたいを押さえる。


「今日用事はですね、お二人を我らが守矢神社にご招待しようかと思いまして」


「俺も?」


 霊夢、ではなくお二人、と言ったところから必然的に俺しかいないのだが、念の為聞いておく。

 返ってきた答えはもちろん予想通りだった。


「そうです。よろしければ、ですが……」


 早苗がちらっとこちらを見る。


「俺は大丈夫。霊夢は……」


 いまだに不機嫌そうな霊夢を横目に見る。


「はぁ……いいわよ。行ってあげる。どうせ無理やり連れてかれるんだし……」


 ため息をつきながら霊夢が言う。幸いなことにか知っててなのか、早苗には最後に付け足された言葉は聞こえなかったようだ。

 子供のようにぴょんぴょんはねて喜んでいる。


「喜んじゃってまぁ」


「喜びすぎ、なにがそんなに嬉しいんだか……」


「分かってるくせに〜」


 にやけながら霊夢を見たらお祓い棒で引っぱたかれた。いやぁなかなか面白い。痛いけど。


「そうと決まれば早速行きましょう!」


「え、ちょっと待ちなさーい!!」


 これまたいつも通り、霊夢が早苗に無理やり手を引かれていく。

 その光景に目を細めながら、俺も二人のあとを追いかけた。




 ──妖怪の山──


「さぁ、守矢神社まではあと少しですよ!」


 いまだに元気な早苗が先頭を歩く。

 そこへ、空から影が降ってくる。


「あややー、これはこれはお久しぶりで」


 背中から生える黒い翼。山伏のような格好をした鴉天狗。


「なによ文。今日は異変じゃないわよ」


 面倒くさそうに霊夢が文を見上げる。


「あやや、そうだったんですかー。それは残念ですねー」


 そんなことを言った割には文がいつまでもついてくる。


「まだなにか用?」


 霊夢が立ち止まって振り返る。

 それに文がわざとらしく驚いたような顔をする。


「いえいえ、ネタがないかついてきてるだけなのでお構いなく〜。そのうち消えますからー」


 白々しい態度で文がこちらに笑いかける。毎度のことながら信用できないような笑顔だ。何考えてるか分からないし。紫とはまた違う方向で不気味だ。


「はぁ……守矢神社に着く前には帰りなさいよ」


「はいはーい」


 その手にカメラを構えたまま文が了承の意を示す。


「お二人ともー、もうすぐですよー!」


 先を歩いていた早苗が立ち止まり、こちらを呼ぶ。

 早苗に追いつくため、俺と霊夢は歩く速度を早めた。




 ──守矢神社──


「着きました! ここが私が巫女を務める神社、守矢神社です!」


 階段を上りきった先には、博麗神社とは比べ物にならないくらいしっかりとした神社があった。



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