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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
第5章 霊知の太陽信仰
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第58話 地底編 地獄鴉と八咫烏

──地霊殿 中庭──


「ここって……」


「中庭です。こっちから灼熱地獄跡に入るんです」


さとりは歩きながらそう説明する。


「なぁ、さとりの能力って否応なしに相手の心を読むものなのか?」


俺の質問に、少し間を空けてから彼女が答える。


「さすがに自分の意思でできます。今はあなた達の心も読んでいませんよ」


念押しするかのように最後にそう付け足す。


「その……お空、だっけ? そいつの動きには気づかなかったのか?」


「……お恥ずかしながら気づけませんでした。本当に申し訳ありません」


さとりは歩みを止めずに、だが誠意を持って謝罪した。


「……いや、今のは俺も意地が悪かった。忘れてくれ。それだけお空を信頼してるってことだしな」


「そう言っていただけると嬉しいです」


また少し歩くと、今度は文が口を開く。


「灼熱地獄、ということは相当暑いのでは?」


さっきのさとりの灼熱地獄跡、という発言を気にしてのことだろう。


「そう……ですね。夏、という季節と同じくらいの暑さまでは温度の調節ができているはずです」


どうやら暑さの心配は無用、とまではいかないが大丈夫なようだ。そもそも立ち入れない、なんてことだったらそいつが出てくるまで待つしかなかったしな。


「そうだ、そのお空ってやつはどんな能力なんだ?」


そう聞くと、さとりは少し困ったような顔をする。


「お空……霊烏路空れいうじうつほは私の知る限りでは普通の地獄鴉のはずです。灼熱地獄の高熱に耐えることができ、火球を吐く、というくらいしか行えないはずなんですが……」


さとりはその先の言葉を濁す。何か思い当たることでもあるのだろうか。


「その、少し前にここに訪問者がいたのです」


ここに来て新たな事実が発覚した。俺たち以外にもここに来ていた者がいたのか。だがその時は異変は起きていないはず……一体何しに……?


「お空は素直な子で、他人の言うことを容易に信じてしまうほど純粋なんです。おそらくはその方がたに何かされたのかも……と」


なるほど、そういうことだったのか。


「その来た奴らってのは覚えてないのか?」


「すいません。ちらっと見た程度なので、ハッキリとは思い出せないのですが……」


見学しに来た、などと言われたから適当にOKしてあしらってしまったんだとか。それでいいのか地霊殿の主。


「確か、片方は金髪で私と同じくらいの背。頭に帽子を被っていました。もう1人は青い髪にあれは……注連縄ですかね。それを背中に背負ってました」


注連縄背負ってるってなんだよ。思いっきりツッコミたくなる衝動に駆られたが、幻想郷ではそんなこと日常茶飯事だ。ここは抑えとこう。


「文、分かるか?」


「うーん……おそらくは守矢神社のお二人ではないでしょうか」


「守矢神社?」


早苗のいるっていう神社か。確か早苗が仕えてる神、だったっけか。


洩矢諏訪子もりやすわこ様と八坂神奈子やさかかなこ様ですね。おそらくはこの二人に何かされたのではないかと」


「……どちらにせよ早くあの子に会って確かめなければなりませんね」


そう言ったさとりは、少し歩みを進める足を速めた。




──灼熱地獄跡──


「……確かに暑いな」


「あまり長居はしたくありませんねぇ」


「こっちです。お空はいつもこの奥に」


そう言ってさとりが案内した先には、ものすごい光景が広がっていた。


「こんなんがあるのになんで温度調節できてんだよ……」


銀の視線の先には、マグマがあった。ボコボコと音を立て、マグマが何か知らない銀でも危険を感じられるくらいには熱そうだった。


「あれーさとり様だー!」


「お空!」


俺たちが下に気を取られていると、そのお空が現れる。

右腕に何か多角柱の棒のようなものを取り付け、胸には赤い目が付いている。

長い黒髪に緑のリボンを付け、背中からは大きな黒い翼が生えていた。


「うにゅ? その人達だれ?」


「お空、それよりその姿……」


「これはねー、この前来た人が力をくれてこんな風になったんだー。この前来た人誰だっけ?」


鳥頭……。この場の誰もがそう思ったが、そんなことを言っている場合ではない。


「お空、地上を攻めるって」

「あー! もしかして力を返してってこと!?」


さとりの言葉を遮ってお空が声を上げる。

ダメだ、この子話聞く気ねぇぞ。


(さとり、1回大人しくさせるしかないんじゃないか?)


(……なるべく手荒なマネはしたくないんですが……)


だがそんなことを言っているヒマもない。お空は一人で喋ってなぜか一人合点している。


「私は新しく地上に灼熱地獄を作るの! だからこれは返さないよーだ!」


そういうことだったのか。まさか地上に第2の灼熱地獄を作る気だったとは。


「お空! そんなことしなくても」

「さとり様逃げて! 私がその人たちやっつけるから!」


もはや彼女にさとりの声は届いてないようだ。


「核熱・ニュークリアフュージョン!」


「んなっ!?」


お空の唱えたスペルの意味を理解できたのは文だけだった。だが、その表情からそれがマズいものだということだけは分かる。

俺たち目掛けて超巨大な光弾が迫る。


「さとり!!」


すんでのところでさとりを脇に抱えて躱す。文の心配はいらないだろう。


「さとり、お空の言うように逃げとけ。ここは危ない」


「いえ、私はあの子の主人です。黙って逃げるわけにはいきません」


さとりが真っ直ぐにこちらを見る。……その目だよ。そんな目してるやつを無理やり動かすことなんてできるわけない。


「文」


「分かってますよ」


さとりを文に任せ、お空と対峙する。


「銀さん。彼女はおそらく八咫烏やたがらすの力を得ています」


「八咫烏?」


初めて聞く名前だ。妖怪……なのだろうが。


「八咫烏は太陽の使いとも言われていて、おそらく彼女は核融合を行うことができるようです」


「核融合?」


「分かりやすく言えば、彼女は『太陽を創り出す』ことができます!」


「たいよっ!?」


そんな馬鹿な。一体どんな能力者だよこの子にそんな力を与えた奴って。


「当たったら確実に死なので頑張ってください」


文がこちらに親指を立ててくる。


「おーおーハードル高いなおい」


そう言いつつも、お空に向き直る。こいつはさとりの大事な家族だ。何とかして大人しくさせて、そんでもって地上を攻めさせるのは止める。最後に求めるのはハッピーエンドだけで十分だ。


「さぁて、やったりますか!」


神の使い? ぶっ飛ばしてやるよ。


お空のスペルを合図に、今回の異変最大の戦いが幕を開けた。

いかがだったでしょうか。

今回はお空の登場ですね。普通に考えて手のひらで軽く擬似太陽作れるってバケモンですよね。

それではまた次回、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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